「車酔い」に本気で取り組むアナログな技術
けれど日産の開発陣は諦めなかった。
船酔いを研究するボートメーカーなど、さまざまな“酔いの専門家”に話を聞くなどして研究を重ね、
車に酔う二大要因「急な頭の動き」と「視界の狭さ」を徹底的に潰すことに。
その際の指標として「発汗量」に着目。舌が乾き、生唾を飲むようになると酔いの前兆。さらに汗をかくとあとは車酔いにまっしぐら、なのだという。
まず
「急な頭の動き」対策。
新型セレナに乗ってまず驚くのは、めちゃくちゃ滑らかな加速&減速ってこと。だから発進時に頭が後方に、減速時に前方に振られることが少ない。
モーターで走る車の制御は、電気自動車やe-POWERで長年研究している同社に一日の長があるのは確かだが、ガソリン車も同じような加減速なのだ。
このためにCVTの制御をイチから見直したのだという。いわば車酔いしないためのトランスミッションを開発したのだ。
子供が蹴っても汚れにくい・汚れを拭き取りやすい背もたれ。e-POWER車は7人乗りと8人乗り、ガソリン車は8人乗りが用意されている。
カーブでもなめらか。穏やかにロールすることで「急な頭の動き」を防ぐ。当然そのための足回りが開発されている。
フワフワせず、ガチガチでもなく、ちょうど良い塩梅を長い時間をかけて探った。フワフワもガチガチも「急な頭の動き」に繋がるからだ。
細かく左右に車が揺れれば当然車酔いに繋がる。特に背の高いミニバンは横風の影響を受けやすいから、ついステアリングの微修正を繰り返しがちになる。
そこで、ステアリング構造や空力特性にも手が加えられた。
3列目シートも快適だから、両親を乗せて三世代ドライブも満喫できそう
次に
「視界の狭さ」対策。
旧型から“クラストップの広さ”を誇るセレナだから、室内が広々としているのは当たり前。窓だって大きいから視界も良好。
けれど見えすぎるがゆえ、移動中に近く(手前)のものが見えると車酔いを誘発する危険がある。近くの景色は遠くと比べて激しく変化するからだ。
そこで
2列目シートは(旧型の時から)横にスライドできる。ドアから離れることで車に近い景色から少し離れて、遠くを見ることになる。窓が大きくて開放感バツグンだけど、
酔いを誘発する近くの景色はシャットアウトってこと。
旧型同様、3列目シートは左右跳ね上げ式。跳ね上げ構造が見直されて、より簡単に収納できるようになった
さらに2列目の
天井に大型モニターを備えた。
昔からある? 最近はタブレットやスマホで動画を見るのが当たり前? いやいや、セレナはWi-Fiを使ってタブレット等から大型モニターに映像を飛ばせるようにした。
これなら自然と目線が前方に向かうので、手元ばかり見ているより自然と視界が広くなる。
また前方を見ることで体が自然と前方のカーブに備えようとする。車酔いは、自分の揺れの感覚と、実際の揺れとのズレの蓄積でも生じやすいという。だから
前を向いて「カーブが来る!」と自分に認識させると、車酔いしにくくなるというのだ。
100V・1500Wのコンセントは前席とラゲッジに装備される
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