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つまりお酒は、飲んだ人が楽しいだけでなく、人間関係を円滑にするコミュニケーションツールでもあるわけです。「つながりの幸福」をつくる「オキシトシン」を分泌させる重要なファクターでもあります。

「人と人とをつなげるビール」で19期連続売上増

すでに、日本のビールメーカーで、「オキシトシン的幸福」な側面で売り上げを伸ばしている企業があります。

それは、クラフトビール最大手のヤッホーブルーイングです。

同社の商品はスーパーやコンビニでも見かける身近なもの。幅広い層に人気の「よなよなエール」をはじめ、「インドの青鬼」「水曜日のネコ」など独特なネーミングと斬新なパッケージデザインが目を引きます。ヤッホーブルーイングの販売戦略のカギは、リピーターを増やすことにあったといえます。

例えば、ビールを飲む生活者のことを「ファン」と呼びます。

同社の姿勢が垣間見えるエピソードです。さらに、ビールファンが一堂に会し、さまざまな切り口でビールを楽しむ「超宴」というイベントを群馬県・北軽井沢で開催(コロナ禍においてはオンラインで開催)し、ファン同士の交流を促進しています。

ほかにも、ビールに合うおつまみのつくり方や、インターネットラジオなどを発信。自分らしくいられたり、周りの人と笑顔で過ごす時間に寄り添うビールという位置づけで、さまざまなコミュニティーを提案しています。

2021年のヤッホーブルーイングの売り上げは、前期比3割増、19期連続で過去最高を更新しています。

もちろん、ファンイベントだけでなく、さまざまな営業努力の結果ではありますが、私は「人と人とのつながり」を重視するアプローチである「オキシトシン的幸福」への貢献が、同社の売り上げの支えになっているのではないかと考えています。

これまでお酒メーカーは、体への影響からお酒という商品自体でヘルスケアビジネスに参入するのはハードルがありました。しかし、「心のヘルスケア」へと視点を変えると、新たなマーケットが生まれるのです。


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