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学ぶべきことを人によって変える

さて、定年後再雇用者をリスキリングする際に気をつけるべきことは、とにもかくにも「どんなスキル」を学び直すのかを、人によって変えるということです。

シニアになればなるほど、「考え方が古い」=「変わらない」わけですから、適材適所で、かつ各人の持つベーススキルの特性上に乗りやすいものを学んでもらうのが正解です。

それなのに、多くの企業では、十把一絡げに「全員DX」「全員語学」などとしてしまいがち。

それならば一定の確率で落伍者が出るのは当然です。まずは、リスキリング対象者の特性を個々に棚卸ししてから、何を学んでもらうのかを決めましょう。

シニアが獲得しやすい能力がある 



ちなみに、シニアの能力開発を考える際に、加齢と知能の一般的な関係については知っておくべきでしょう。

知能には大きく分けると「流動性知能」と「結晶性知能」と呼ばれるものがあります。

前者は、主に若い時期に環境に適応するためにどんどん入ってくる新しい情報を処理するための知能です。計算能力やスピード、図形や空間などの認知、直感的なパターン認知、単純記憶などが該当します。

後者は、長年にわたる経験によって獲得し、年を経ても積み重なっていく知能です。言語能力、コミュニケーション能力、理解力、洞察力、創造力などが該当します。

シニアのリスキリングは後者に当たる能力を対象とすべきでしょう。

苦手なスキルはチームで補う

それなのに、個人の特性の点でもシニアという観点でも、当人が苦手なスキルを、無理やりリスキリングさせるのはイジメのようなものです。

スキルというものはどんなものでも体系化されているものであり、部分のスキル(サブスキル)に分解できます。例えば、採用面接のスキルであれば「情報収集(インタビュー)」「見立て(アセスメント)」「評価(ジャッジ)」に分かれ、それぞれ別々に担当させることもできます。

仮にスキル全体を学び直すのが厳しくとも、それを分解して、得意なところだけを学んでもらい、苦手なところは、チームの他の同僚がカバーすればよいのはないでしょうか。


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