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2022.11.26

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日本のお茶の現状は“眠っているアセット”。岩本涼さんが考える日本人最大の武器

ティールーム代表取締役 岩本 涼さん Age 25●1997年、千葉県生まれ。茶の湯文化と日本茶産業の融合を目指し、早稲田大在学中に21歳の若さでティールームを創業。岩本宗涼の茶名で裏千家の茶道家としても活躍する。

ティールーム代表取締役 岩本 涼さん Age 25●1997年、千葉県生まれ。茶の湯文化と日本茶産業の融合を目指し、早稲田大在学中に21歳の若さでティールームを創業。岩本宗涼の茶名で裏千家の茶道家としても活躍する。

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普段、何気なく飲んでいるお茶。しかしその世界は、知れば知るほどに奥深い。裏千家の茶道家でありながらお茶の製造・流通にも携わる岩本涼さんは、日本のお茶の現状を「眠っているアセット」と表現した。

「日常的にペットボトルでも飲むものであると同時に、“侘び寂び”に代表される精神性、さらには日本古来の文化的背景も含んだ茶道の顔を持つ、多面的プロダクトとしてお茶を捉えています。

その素晴らしさは海外からも注目されていますが、当の日本人がいまいち理解できていない。非常にもったいないと感じています」。

2018年に設立。お茶の卸から営業・販売、企業コンサルタント、茶道・日本茶を中心とした文化関連事業の形成まで幅広く手掛ける。ハンズ(旧・東急ハンズ)を販売パートナーとしたウイスキー紅茶「THE CASK AGING」を開発するなど、他企業とのコラボレーションも精力的に行っている。主宰する「稽古場」は今後、京都にも進出予定。

2018年に設立。お茶の卸から営業・販売、企業コンサルタント、茶道・日本茶を中心とした文化関連事業の形成まで幅広く手掛ける。ハンズ(旧・東急ハンズ)を販売パートナーとしたウイスキー紅茶「THE CASK AGING」を開発するなど、他企業とのコラボレーションも精力的に行っている。主宰する「稽古場」は今後、京都にも進出予定。


岩本さんが代表取締役を務めるティールームの事業は、3つの軸で形成される。静岡県の茶園と工場をベースにしたお茶の「流通」、他企業とお茶を媒介とした共同プロジェクトを行う「共創」、そして「稽古」と呼ばれる茶道の文化に触れる場の創出。

東京・清澄白河の稽古場で定期開催する学びはとりわけユニークだ。

「茶室で行う一回3時間の講座に起業家やアーティスト、モデルなどさまざまな分野の方々が参加されています。茶の湯を紐解きながら、世界と対等に戦うための日本的な価値観を学んでいただく。

例えば“侘び”についての回では、その考え方が生まれた理由や意味合いを掘り起こし、最終的に自分らしい“侘び”を発見してもらうんです。

稽古の語源は、古事記に登場する四字熟語“稽古照今”。古を考えて今を照らすことを意味します。我々の稽古場は、アウトプット先をビジネスに置く文化の学び舎です」。

 

ジャケット16万5000円/オーラリー 03-6427-7141、カットソー1万3200円/キャプテン サンシャイン×ビューティ&ユース(ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 丸の内店 03-6212-1500)、デニム3万800円/エーブイエヌ(エイチジェイエム 03-6434-0885)


お茶を通じて、自らの本質と強みにたどりつく。そのアプローチは参加者同士の価値観の共有を促し、岩本さんの稽古をきっかけに新たなビジネスが生まれることも少なくない。

「互いの本質を知り、双方が歩み寄ってより良いものを作る。つまりは“調和”する能力が、日本人最大の武器だと思っています。そもそも日本のお茶は中国発祥ながら独自の発展を遂げてきましたし、侘び茶の祖である村田珠光は“和漢の境を紛らわす”という表現で調和の重要性を説きました。

世界中から拾いきれないほど多くの情報が舞い込む現在、それらすべてを丸呑みにせずどう消化するか。そこでも当然、調和が鍵を握ります。そういった思考のインフラ整備のうえでも、茶の湯の思想が役に立つと考えています」。

兵庫県出身のデザイナー、岩井良太さんが手掛けるブランドで、生地選びから着心地の良さにこだわって製作される。着用したジャケットには、岩手県花巻市にある日本ホームスパンで作られたツイードを採用。表情豊かな質感とふんわりした着用感を実現する。「フロントにボタンがないデザインで、ジャケットのようでカーディガンのようでもある。そんな調和のあるデザインにも日本的なものづくりの姿勢を感じました」(岩本さん)。ジャケット16万5000円/オーラリー 03-6427-7141

兵庫県出身のデザイナー、岩井良太さんが手掛けるブランドで、生地選びから着心地の良さにこだわって製作される。着用したジャケットには、岩手県花巻市にある日本ホームスパンで作られたツイードを採用。表情豊かな質感とふんわりした着用感を実現する。「フロントにボタンがないデザインで、ジャケットのようでカーディガンのようでもある。そんな調和のあるデザインにも日本的なものづくりの姿勢を感じました」(岩本さん)。16万5000円/オーラリー 03-6427-7141


ニッポンが誇るべき調和の美学。この日に岩本さんが着用したオーラリーのジャケットも、ウールやシルク、カシミヤなどの多彩な素材を折り重ねて独特の雰囲気を放つ。

「仕事で和服を着る機会が多いせいか、普段の服装まで気が回らないことが多いです。それではいかんと、最近は社内の人間がコーディネイトしてくれることも。今回着たジャケットは日本らしい繊細な見た目だけでなく、軽くて暖かい機能面にも惹かれました。いい服を着ると、やはり気分がアガりますね。

これからは茶室同様に、季節の移ろいや些細な変化をファッションで楽しめるよう努めてまいります(笑)」。

オーシャンズとメイド・イン・ニッポン

2009年2月号。

2009年2月号。


ニッポンのモノ作りには世界に誇るべきクリエイティビティがある。オーシャンズは長らくその底力、センスに着目してきた。

2009年2月号ではファッション、車、酒、電子機器など、ジャンルを超えて日本のモノ作りの魅力を発信。世界から買い付けられる日本ブランドから、匠たちの手掛けるアイテムまで、知っておきたい名品を集めた。


清水健吾、干田哲平、高橋絵里奈=写真 梶 雄太、来田拓也、松平浩市=スタイリング yoboon(coccina)、勝間亮平、竹井 温(&'s management)=ヘアメイク 加瀬友重、高村将司、オオサワ系、安部 毅、増山直樹、磯村真介(100miler)、早渕智之、大木武康、大関祐詞、今野 壘=文

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