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2022.11.26

ライフ

「人生を懸ける価値のある仕事です」保育施設のDXで家族の幸せを支えるユニファ代表

ユニファ代表取締役CEO 土岐泰之さん Age 41●1980年、福岡県生まれ。2003年に住友商事に入社。その後外資系戦略コンサルティングファームであるローランドベルガーやデロイトトーマツを経て、 ’13年にユニファを創業。

ユニファ代表取締役CEO 土岐泰之さん Age 41●1980年、福岡県生まれ。2003年に住友商事に入社。その後外資系戦略コンサルティングファームであるローランドベルガーやデロイトトーマツを経て、 ’13年にユニファを創業。

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保育園や幼稚園の先生はなんと多忙なことか……。パートナーとその類いの会話をしたことがある読者諸兄は、少なくないと思う。子供たちの保育そのものはもちろん、体温チェックや連絡帳の作成といった山積する記録業務。

そんな現場の業務負荷軽減をサポートしてくれるのが、保育施設向け総合ICT(情報通信技術)サービス「ルクミー」だ。サービスを手掛けるユニファの土岐泰之さんにその内容を聞いた。

「2013年にインターネットを介した保護者への写真販売サービスからスタートしました。現在は、デジタル連絡帳、アプリと連携する体温計、園児の睡眠を見守るセンサーを使った午睡チェックなど14のサービスを用意しています」。

これまで導入実績は全国で延べ約1万5000件に上り、月当たり130時間の業務軽減を実現した園もあるという。

「負担が軽減されれば、今まで以上に子供たちと向き合う余裕が生まれます。その時間が、保育者と子供、ひいてはその家族にとっても豊かな環境を整えることにつながる」。

2013年創業した「ユニファ」。保育施設向けICTサービス「ルクミー」を手掛ける。今年8月には園向けキャッシュレス決済サービス、9月には園探しのための口コミサービスを開始するなど、機能を広げている。’17年、全世界から1万社以上が参加した「スタートアップ・ワールドカップ」で優勝。社名は「Unify」と「Family」を組み合わせた造語だ。

2013年創業した「ユニファ」。保育施設向けICTサービス「ルクミー」を手掛ける。今年8月には園向けキャッシュレス決済サービス、9月には園探しのための口コミサービスを開始するなど、機能を広げている。’17年、全世界から1万社以上が参加した「スタートアップ・ワールドカップ」で優勝。社名は「Unify」と「Family」を組み合わせた造語だ。


企業としての強みは、日々現場から蓄積される膨大なデータである。アプリを使用する園からの要望を営業チームが集約しデータベース化、サービス改善や新規事業に速やかにつなげるサイクルが整う。

そして、ユニークなのは、3億枚を超える子供たちの写真データを持っていること。海外のピッチコンテストで優勝したとき、アップル創業者のひとりであるスティーブ・ウォズニアックに「グーグルやアマゾンも持っていないビッグデータ」と評されたという。

「こうしたある意味ディープなデータは、将来的に子供たちの成長に寄与する形で活用したいと思っています。

例えば、トンボを捕まえようとしている子供の写真があれば、その子に昆虫の本を与えてはどうかと提案したり、顔色などの様子の変化から健康状態を分析したり。今まさに研究開発を進めています」。

 

コート21万100円/ケンゾー(ケンゾーパリ ジャパン 03-5410-7153)、ニット6万1600円/フィリッポ デ ローレンティス、スニーカー2万5300円/オートリー(ともにトヨダトレーディング 03-5350-5567)、デニム2万7500円/エイチ ビューティ&ユース 03-6438-5230


もちろん現在地にいたるまでの道のりは平坦ではなかった。想像以上にアナログなオペレーションが続いている保育業界。今もDXに積極的な園は決して多くない。

「キャッシュレスが当たり前の時代ですが、いまだ茶封筒に入れた現金を園児に持たせているところも。正直に言えば、多くの園は現状維持がベストという考え方です。

その園で伝統的に培われてきたノウハウをすべて否定してはいけない。何を変えて何を変えないか。将来のビジョンも含めて伴走していくのが私たちの役割なんです」。

土岐さんの口調は常に熱を帯びている。その熱量はすなわち、仕事に対する思いの強さである。

「そもそもは、自分の子供に小さい頃の写真を残してあげたいという個人的な思いから始まった事業。でも、やればやるほど人生を懸ける価値があると実感しています。

子供たちのために頑張っている大人たちをもっと助けたい。そして保育施設の価値を高めて、その地域全体を元気にしたい。容易なことではありませんが、その先に垣間見える未来に、私自身のワクワクが止まらないんです」 。

パリで継承されるジャパンスピリットを感じる服

コート21万100円/ケンゾー(ケンゾーパリ ジャパン 03-5410-7153)

コート21万100円/ケンゾー(ケンゾーパリ ジャパン 03-5410-7153)


「保育関係の先生から政治家までさまざまな人に会うので、普段からくだけすぎない、落ち着いた色の服が多いです」と言う土岐さん。

今回土岐さんが着用したフード付きロングコートはNigoがアーティスティックディレクターに就任したケンゾーのもの。言わずもがな1970年代からモードの最前線で活躍を続けるパリのメゾンブランドである。

「見た目以上に軽く、暖かい着心地。着やすいグレーながら肩にあしらわれた花のワンポイントに遊び心を感じます」(土岐さん)。


清水健吾、干田哲平、高橋絵里奈=写真 梶 雄太、来田拓也、松平浩市=スタイリング yoboon(coccina)、勝間亮平、竹井 温(&'s management)=ヘアメイク 加瀬友重、高村将司、オオサワ系、安部 毅、増山直樹、磯村真介(100miler)、早渕智之、大木武康、大関祐詞、今野 壘=文

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