ガイシャと張れるヒロシマ車
最近、耳にして面白いと思ったのが、「ガイシャ疲れ」という言葉だ。なんでガイシャに疲れちゃうのかというと、かなり良くなったとはいえ日本車に比べれば細かいところに不具合が起こるし、ディーラーも家から5分というわけにはいかない。
そこで、「ポルシェ以外は車じゃない」ぐらいのことを豪語してきた人が、「(ポルシェ)911は手放さないとして、もう1台のファミリー用は日本車でもいいかな」てなことを言い始めた。
でも、これが意外と難しい。こういう人たちは、走りにも、デザインにも、メカニズムにもうるさいからだ。
そんな方々にすすめたいのが、マツダCX-60のプラグインハイブリッドだ。まず、後輪駆動用の新しい基本骨格というのが、ウンチク好きの琴線に触れる。パワートレインがPHEVというあたりも、メカ好き、新しモノ好きの心に刺さるはず。
いざドライブしてみれば、最近のマツダ車らしい繊細で自然なドライブフィールが心地いい。カッコは好みの問題だけれど、インテリアの色や素材を吟味するとなかなかクールに仕上がる。
ガイシャ好きのうるさ型も、「911は車庫に置きっぱじゃけぇ、マツダばっか乗りよる」と、広島弁を操るようになるかもしれない。
| モータージャーナリスト サトータケシ フリーランスのライター/編集者。12年モノの愛車である、シトロエンC6のフロントショックアブソーバーの交換で20数万円が吹き飛んだので、この秋は身を粉にして働く所存だとか。 |
マツダの未来を背負っている
この新型SUVを見て「代わり映えしないな」と思うくらいに車に詳しい人でも、CX-60が実はマツダにとって社運を懸けたモデルだと知る人は多くないだろう。その車体の大きさゆえ、新たなデザイン表現もできたはずだが、今までの路線=魂動デザインをしっかり踏襲しているのだからなおさらだ。
CX-60を含む今後のモデル展開に関していうと、これを大きなステップアップのチャンスとしなければマツダの未来はない。吉と出るか、凶と出るか、なんて悠長なことは言っていられないくらいに。
逆に言うとそれだけ開発に力を入れ込んだモデルともいえるわけで、実際、中身は完全に一新されており、商品の立ち位置は、はっきりと上級へと移行した。
プロトタイプや市販のディーゼルグレードに乗ってみたが、正直に言って煮詰まっていない点も散見される。街乗りの実用性では、乗り心地やミッションなどに改善が必要だ。
けれどもそれを補ってあまりある魅力もあった。例えば、まるでスポーツカーのように駆け上がるアシと、心地良いサウンドを奏でるディーゼルエンジンなどだ。
総合的には非常にポテンシャルの高いモデルだと思う。バリエーション展開も含めて今後の熟成と発展にも期待していい。
| モータージャーナリスト 西川 淳 フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。 |