▶︎すべての画像を見る 祝・30歳! ヌプシ大解剖●今年、誕生から30周年を迎える「ザ・ノース・フェイス」のヌプシ。我々も大いにお世話になってきた傑作ダウンが歩んできた歴史と最新事情を徹底解剖!
アウトドアブランドとして数多くの傑作ダウンを世に送り出してきた「ザ・ノース・フェイス」。
なかでも今シーズンの最注目は、発売から30周年を迎えた「ヌプシジャケット」だ。
この名品は'90年代から2000年代をどう歩んできたのか? ヌプシの凄すぎる進化と真価を紐解いてみよう。
軽くて温かい「インナーダウン」の先駆けとしてデビュー
ヌプシジャケットの誕生は1992年。
ザ・ノース・フェイスは、1980年代半ばから高所登山や極地探検といった、過酷な状況下に対応するためのレイヤリングシステムの開発をスタートしていた。
いわゆる“デスゾーン”(人が生存不可能なほど酸素濃度が低い高所の領域を指す登山用語)に対応するためには、ハイスペックなシェルやインサレーション(中間着)などを組み合わせ、吸汗、保温、断熱、防風といった機能を相互に高め合うイノベーションが必要だったのである。
こちらが1992年に発売された初代ヌプシ。
そんな中で生まれた一着が「ヌプシジャケット」だ。その名は、エベレスト南西に連なるヒマラヤ山脈の山、“ヌプツェ”に由来する。
「ヒマラヤンパーカ」や「ヒマラヤンパンツ」といった当時としては割と大ぶりなダウン製品と比べ、軽量でコンパクトに着用できるインサーレンションとして開発された「ヌプシジャケット」。いわば、インナーダウンの走りともいえる存在だったのだ。
オリジナルはアウターとの連結を想定したリバーシブルファスナーを採用。
ザ・ノース・フェイス独自の「ジップ・イン・ジップ・システム」によって、ジップにアウターシェルと連結できるギミックが見られるのもその証左。
今でこそ「薄くて軽い」がインナーダウンの常識だが、当時はマウンテンジャケットの規格自体が今より大きかった時代。ダウンに多少厚みがあっても、フィット感をタイトに仕上げれば、インナーダウンとしてちょうどよく機能したのである。
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