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中学生ぐらいまでの経験が大事

さて、問題は「どうやって第2の本業を見つけるのか」ということですね。簡単に見つけて取り組める人もいますが、比較的多くの人がこの段階で悩んでいます。

ほかの人の成功事例を知って「自分もやってみよう」と取り組んでも、なかなかうまくいかないものです。自分に合った仕事とは限らないからです。結局、自分の中から抜き出して試行錯誤してみることが大切です。

新著『自分が喜ぶように、働けばいい。』の中では、第2の本業を見つけるヒントとして、3つの質問を用意しました。

第1の質問は、「大人になる途中でやり残したことは何?」です。

多くの人の話を聞いて、「どうも中学生ぐらいまでの経験が大事かな」という感覚がありました。子どもの頃に好きだったこと、関心があったこと、自分がしてもらってうれしかったこと、あるいはその当時のコンプレックスなどを考えてみてください。自らの生い立ちも含めて振り返ってみてもいいでしょう。

テレビで活躍している「さかなクン」は、子どもの頃からずっと好きだった魚のことを、大人になってもずっと追いかけていて、いつ見ても幸せそうな「いい顔」をしています。

子どもの頃からものづくりが得意だった会社員が、師匠について職人を目指す、小学生の頃にテレビで観た海外の豊かな生活にあこがれて海外移住の準備をする人、実家が農家で、収穫の喜びが忘れられないと言って、50代から兼業で農業に取り組む人などなど。かつての思いや途中でやり残したことにもう一度取り組んでいる人は少なくありません。

会社で得た経験を世の中で活かす

質問その2は、「いままでの仕事で極めたスキルは何?」です。

20年以上も会社で仕事をやってきた人は、いろいろな技やノウハウ、人脈を持っています。そうやって得たスキルや経験を会社の外や社会で活かすことを考えてみるのです。

メーカーの研究部門で長く働いて得た技術を活かして新たな分野の研究で起業を目指す人、営業力を生かして取引先の若手営業マンの指導を任されることによって定年後の働き口を見つけている人もいました。彼は、「若い人たちが成長していく姿を見ることが何よりの喜びだ」と語っています。

自身でコーチングを学んだ人が、それを活かして人事部門の研修役に異動して、退職後は個人事業主として会社の研修を引き受けている人、海外勤務の経験をもとにアジアに進出しようとする中小企業へのアドバイザーを副業でやっている人、人事部門で長く務めた経験を生かして、社会保険労務士、人事コンサルタントで独立するための準備をしている人などなどです。

また「自分をどこに持っていけば役立つのか」という観点も大切です。ある企業の経理で働いている人は、週末に老人ホームの運営をしている会社の経理処理のお手伝いに行っています。この組織では介護士や福祉士といった介護分野の専門家はいるのですが、経理を回せる人がいないのです。先方からは重宝されて「正社員で来てくれないか」と言われています。

第3の質問は、「いままでに体験した大きな挫折は何?」です。

これまで多くの人の話を聴いてきて、挫折や不遇な体験をきっかけとして、別の道に向かう人が少なくないことに気がつきました。私自身がそうでしたし、ほかにも「病気になった」「左遷された」「家族の問題」「震災で被災した」など、挫折や不遇と思える体験をもとに次のステップに進む人がいます。


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