マイバッハが考える「良い車」
以降で紹介する“ラグジュアリー仕様”はメルセデス・マイバッハSクラスのものだが、GLSもほぼ同じと考えていい。
まずボディをツートーンカラーにしたい場合、ワントーンよりも納車が約1週間遅れることを覚悟しよう。
なぜなら、ツートーンは専用の塗装工場で約1週間もかけて丁寧に塗られるからだ。仕上がっても、担当責任者の判断によっては一からやり直す場合もあるというこだわりっぷり。
メルセデス・マイバッハSクラス
そんな美しいボディを眺めたら、今度は後席に座ってみよう。
両車とも後席をセパレート、つまり4人乗り仕様を選ぶことができる。もちろんシートや内張などの仕立ては高級家具のごとしで、「デジタルとアナログとラグジュアリーを融合させた」と同社は謳う。
メルセデス・マイバッハSクラス
4人乗りの後席には専用シャンパングラスとクーリングボックスが用意されているので、乗ったらまず冷えたシャンパンで喉を潤すことができる。
その後は最大43.5度まで倒せる後席の背もたれを寝かせ、膝から下の足を支えるレッグレストを展開すれば、飛行機のビジネスクラス同様、しっかり眠れる。
レッグレストにはふくらはぎ用のマッサージ機能まで用意されていて、目が覚めたときは助手席が自動で前方へ移動してヘッドレストも倒しているので、視界が開けている。
メルセデス・マイバッハGLS 2827万円〜
だいたい、静か過ぎるから眠くなっても当然だ。
あれだけ静かなノーマルSクラスに対して、さらに吸音材からガラスの厚み、タイヤに至るまでこだわって静粛性が高められている。
それでも足りぬとばかりに、ヘッドフォンのノイズキャンセリング技術と同じ理屈である、アクティブノイズキャンセレーションも装備する。
またSクラスはサスペンションやパワートレインのセッティングを変えることができるが、通常「コンフォート」が最も快適モードのところ、それよりよ快適な「マイバッハ」モードが設定されている。
しかもオプションで、先の路面状況をカメラでスキャンして、それに合わせて足回りの瞬時にセッティングを変えながら、とにかくフラットな姿勢を保つという機能まである。
メルセデス・マイバッハGLS
駆動方式は、どんな路面状況にも安全性を確保できるよう、FRではなく4WD。
メルセデス・マイバッハSクラスのエンジンには、電動化著しい昨今においては希少な、6LのV型12気筒も用意されている。
メルセデス・マイバッハGLS
この先、エンジンより静かで、制御がしやすいモーターを使う電動化時代になれば、高級ラグジュアリーカーの世界はより静かで穏やかになるだろう。
もちろん「良い車」の定義は人それぞれ。だがそのひとつの物差しとして、今後メルセデス・マイバッハがどんな景色を見せてくれるのかに注目し続けたい。