「疎外感」を感じる理由はインフォーマルネットワーク
中途入社者が「受容感」を感じずに「疎外感」を感じるのは、多くの場合、組織のインフォーマルネットワーク(非公式なつながり)に接続できていないことが理由です。
組織には、組織図に表れるフォーマルなつながり(上司・部下等)だけでなく、新卒同期や過去の部署の同僚、学校の先輩・後輩、社内サークルのメンバー等、非公式なつながり=インフォーマルネットワークがあります。
そのコアは「同期」であることが多く、新卒プロパー社員は自然にインフォーマルネットワークにつながっていくのですが、中途入社者はそうはいきません。
いつまでたっても「裏のもうひとつの組織」には入れないままでは「疎外感」を感じるのも当然です。
インフォーマルネットワークに接続できないと仕事もやりづらい
そして、特に日本はこのインフォーマルネットワークが仕事の上においても強い影響を与えることがあります。
良し悪しは別として、情報流通や意思決定がインフォーマルネットワークを通じて行われることもあります。以前リクルートで中途入社者の退職理由を探る仕事をしました。
退職者の多くが「この会社はどこをどう押せば動くのかがわからない」と言っていたのを思い出します。
案件を通すときに誰を押さえておけばいいのか、大事な情報は誰が握っているのかわからないということです。
「見えない壁」に邪魔されていると感じてしまっては、仕事もやりづらいことでしょう。
ハブ人材や中途同期とつなげてあげる
さて、質問者の相談内容に戻ります。
まず中途入社の彼女にしてあげるべきことは、社内のインフォーマルネットワークにたくさんつながっている中心人物=ハブ人材(必ずしもフォーマルに偉い人とは限りません)とつなげてあげることです。
一緒にご飯を食べに行ってもいいですし、あえて何かの仕事やプロジェクトを一緒にアサインしてあげてもよいでしょう。
また、中途入社者は同じ境遇の中途入社者にシンパシーを抱くものですから、例えば「この3カ月間で入社した人は中途同期です」と無理やり決めてしまって、懇親会をしてもよいでしょう。
私も実施したことがありますが、思った以上に「中途同期感」が出て、助け合うようになりました。「仲間」ができれば、情報提供者も増える
ハブ人材につながれば、後は自然にネットワークが広がっていきます。また、中途同期という強い独自のネットワークができればそれもセーフティネットになりえます。
つまり、会社の中に「仲間」がどんどんできて、受け入れられた状態になるということです。そうなればしめたものです。「仲間」感ができれば、プライベートの話なども自然に出てくるはずです。
そして、もし本当にプライベートに重大な問題があるのであれば、心配した「仲間」が上司であるあなたに「ちょっとお耳に入れておきたいことがあるのですが」とこっそりと情報提供してくれるかもしれません。
そのときには、素知らぬ顔でさりげなくサポートをしてあげればよいのではないでしょうか。