▶︎すべての画像を見る 俺流!Supreme●’90年代に世界中を駆け巡ったシュプリームの衝撃。当時を知る世代は今、シュプリームとどう向き合っているのか。ファッション業界人が考える、大人のシュプリームの流儀。
90年代にストリートの門戸をくぐった大人たちは、”憧れの先輩がその入り口だった”と語るケースも少なくない。
先輩とは畏怖と敬意が混在する実に困った存在だが、彼らの存在こそが今の自分の形成するうえで重要だったと工藤 俊さんは言う。
だからなのか、先輩たちも袖を通していたシュプリームが今もなお気になって仕方がないのはーー。
工藤 俊●古着店のショップスタッフとしてキャリアをスタート。先輩のススメでデラックスのプレスに就任しストリートのリアルを体感する。その後「ウールリッチ」のプレスも担当するなど、幅広い領域のファッションの動向に目を向ける。
「カッコイイ」を体現したブランド
ファッション、音楽、スケート、バイク。
工藤さんがあらゆるカルチャーに興味を持ったキッカケは、小学校3年のときに7つ上の兄の部屋で見た映画『トレインスポッティング』と『キッズ』だ。
その後、先輩たちの影響をモロに受け、より深くハマっていくことになる。
「先輩たちに完全に汚染されていましたよね(笑)。というのは冗談ですけど、彼らの知見はかなり刺激的で面白かったのは事実です。
よく西麻布や六本木を連れ回してくれる先輩がいたんですよ。俗にいう、“不良”的な人(笑)。ただ、当時はそんな人たちが格好良く見えるじゃないですか。しかも、影響力がハンパじゃない。今でいうインフルエンサーですね」。
彼らの格好よさは見た目より、スタンスやマインドだと工藤さんは回顧する。
「ストリート畑の先輩たちに共通して言えるのは“自分を曲げない”ということ。流されない芯の強さがありました。それでいて社会の変なルールには従わないし、社会的なレールにも乗らない。
そんなストリートヒーローみたいな人たちがたくさんいたし、それを牽引していたのはやっぱりシュプリームクルーな気もします」。
彼らの一挙手一投足に多くの目が集まった。繋がることがそのままステータスになり、彼らの背中を追いかけるストリートキッズは街に溢れた。
「当時の『カッコイイ』の価値観は、シュプリームが作っていたんじゃないですか? ボックスロゴのステッカーもみんなが『欲しいっ!』って思ってましたから。
それを尻目に、シュプリームクルーの人たちがその辺に惜しげもなく貼っていく。手にした余りものに『それ、どうするんですか?』って聞いたら、あっさりくれました。その素っ気なさが逆にイケてましたね」。
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