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シュプリームの”コラボアイテム”の価値

冒頭で触れたように、工藤さんのカルチャー的趣向の形成には、兄の影響も大きい。それは服だけではなく、アートや音楽などのサブカル面でも同様だ。




「当時はアメカジやレトロサーフなんかが流行っていて、兄に感化されてよく古着を見ていました。エッシャーというアーティストも、その流れでなんとなく知っていたんですよね」。




「エッシャーはそれからずっと気になっていたので、シュプリームとのコラボアイテムが出るとなったら、そりゃあ買いますよ。

マッシブアタックのフットボールTもそう。自分が通ってきたものとシュプリームがコラボすると、なんだか自分が認めてもらえた気がするんですよ(笑)」。

シェイン・マガウアンとのコラボTも同様、知人のスタイリストからリリース情報を聞きつけたときは心が躍ったという。



「これは2013年秋冬ですね。やばっ!ってなりました(笑)。これは絶対オレ買う、って直感しました。

シェインは、友達の家でライブ映像を見たりしてましたね。パンク、ハードコア系が好きだったんですけど、もうめちゃくちゃナードで、突っ立ったままアイリッシュの音楽と合わせて歌ってるんです。

で、持っているビールをたまに飲みながら。そんなスタイルがカッコよく見えたんですよね。それがシュプリームとコラボするとなれば、もうスルーの選択肢はなかったです」。



言葉の節々に感じるパッションからわかるように、工藤さんは音楽関係のアイテムに今も目がない。それがシュプリームとのコラボとなるといっそう拍車がかかるようだ。ただ、昔に比べ、、着こなしには変化も出てきたとか。

「昔はフランクに手に取れていましたが、今はインナーに挿して仕上げるくらいの使い方が多いですね。自分の年齢に合わせて変えていく感覚が僕は好きなんですよ。

昔からのスタイルを貫くのも悪くないんですけど、今の若者たちのような、フラストレーションを発散できない人たちが街で目立つべきだろうと思うんです」。



その言葉どおり、クリーンな白シャツを軸に据え、落ち着いた着こなしを披露する工藤さん。

「シャツはヴィンテージのもので、パンツがウールリッチ、シューズがウーフォスですね。どちらかというと、シュプリームを主役にしてはいけないような感覚があって。

若い子らはガンガン主張してもいいとは思うんですけどね。今の年齢ならさりげなく、それでいて潔くシュプリームを取り入れたいですよね」。

ストリートカルチャー出身のプロ視点、きっとあなたも共感できるはずだ。

佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文

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