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2022.09.25

ライフ

ラグビー元日本代表・五郎丸 歩さんの言葉「批判する側でなく評価される側でいたい」


当記事は「The Wordway」の提供記事です。元記事はこちら(第1回第2回第3回)。

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今回のアチーバーは、ラグビー元日本代表で2021年に現役を引退した五郎丸歩さんです。

五郎丸さんはスケールの大きなプレーで高校時代から注目され、早大時代には3度の大学選手権優勝に貢献。日本代表としても長くプレーし、2015年のW杯では歴史的勝利を挙げた南アフリカ戦でトライを決めるなど、チームの躍進を支えました。

その後は海外リーグにも挑戦し、オーストラリア、フランスの強豪チームでもプレー。2021年シーズンを最後にピッチに別れを告げました。

引退後は、所属していた静岡ブルーレヴズの「クラブ・リレーションズ・オフィサー(CRO)」に就任し、新たなフィールドで挑戦を続けています。

日本のラグビーをけん引し、世界の扉を開いてきた五郎丸さんが壁を乗り越えるために大切にしてきたこととは。

言葉①「自分自身の目標と、チームの目標。2つを持つことでぶれずに進んでいける」

Q:ラグビーを始めたのは3歳、お兄さんの影響だったと聞きました。

そうですね。3歳から始めましたけど、小学4年生でラグビーからサッカーに切り替えたんです。兄が2人いるんですけど、兄2人はラグビー1本なので、サッカーに切り替えていた小学校4、5、6年の間は兄からの厳しい目を感じていましたね(笑)。ただ、その3年間は自分の中で大きかったなと思っていて。

サッカーをやることによって、キックもすごく上達しましたし、キックを蹴ることによって、空間認識も身に付いたと思います。

Q:佐賀工高校時代から注目され、早大ではスター選手として1年生からレギュレーとして活躍されました。学生時代の忘れられない経験や、後の考え方に影響を与えた試合などはありますか?

高校2年のときに、兄と全国大会に出たんですが、いろんな人たちからの期待感がある中で、自分の失敗でチームが負けてしまったんです。その時間は返ってこないですし、巻き戻すこともできない。

自分をずっと支え続けてくれて、自分の進路をずっと切り開いてくれたしてくれた兄に、最終的に泥を塗って卒業させてしまったと。その申し訳ないという思いと、兄以外の方々にも本当に申し訳ないという思いは、未だに残っていますね。



その申し訳なさがあったので、「大学でとにかく活躍しなくちゃいけない」という思いがすごく強かったです。

それもあって、僕は自分がどうなりたいかっていうのは、あんまりないんですよ。それより、このチームを強くしたいとか、誰かに恩返ししたいとか、そっちの思いの方が強いですね。

Q:自分がこんな選手になりたいとか、こんなチームでプレーしたいという未来は考えないと?

そうですね。自分のビジョンっていうのはあまりないですし、先のことを考えてもどうせ分からないと思ってるので。みなさん色々長期的なビジョンって持たれているじゃないですか。でも、それって全部どんでん返し食らうときが絶対来るわけじゃないですか。

先は分からないし、それだったら今置かれた環境で楽しんだり、何か改善するとか、そっちに考えを振った方が自分をコントロールできる部分が大きいなと思って。コロナなんて、誰も想像してなかったし、もはやコントロールできないじゃないですか。



主軸はチームにあるって感じです。でも自分が戦っていく上で、組織やチームに依存し続けるのも危ないなと思っていて。

例えば、チームのためにすごく自分が頑張りました。でも、チームの結果が出なかったり、チームみんなやる気ないですみたいな状況って多々あるじゃないですか。

そうすると、100%チームだけでやっていたら自分のモチベーションはガクッと落ちるわけですよ。これも、結構危ないなと思っていて。

だからこそ、自分自身が持つ目標と、チームが持つ目標、その2つを持っておかないと、行ったり来たりできないなっていう。そうしないと自分の心を穏やかに保てないなっていうのは、20代後半ぐらいに気づきましたね。



Q:五郎丸さんは、苦しい局面に陥ったり、成長に鈍化を感じた時、どのようにその「壁」を乗り越えてきたのですか?

そうですね。僕も「苦労してるんでしょう」とか言われたりするんですが、苦労することが楽しかったりしてるんですよ。だから、苦労ってあんまり考えてなくて。これは簡単に言えば、物事の捉え方だと思うんです。

物事、これをやらなくちゃいけないとか、もちろんあるんだけど、できないこともあるし、そのできないことに対して、どう自分で捉えるかだと思うんです。「嫌だな」と思うのか、「チャンスだな」と捉えるのか。

でも、言えるのは「同じ時間ですよ」と。その時間内で、どういう風に自分が物事を感じて、前に進んでいくかっていうのは、自分に選択肢がありますから。



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