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2022.09.26

からだ

立ちくらみを侮るな! 医師に聞く怖ろしいその実態、場合によっては心臓病のサインかも

©︎AndreyPopov/iStock

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「知らないと怖いカラダのサイン」とは……

立ち上がった瞬間にクラッとする立ちくらみ。それははたして、貧血や低血圧だけのせいなのだろうか?

「立ちくらみを一時的なものだと甘く見るのはご法度です。そこには意外な病気が潜んでいるかもしれません」ーーそう教えてくれたのは、メディカルチェックスタジオ 東京銀座クリニック院長の知久正明先生だ。

話を聞いたのはこの人!
知久 正明●メディカルチェックスタジオ 東京銀座クリニック 院長。循環器専門医として血管内カテーテル治療から血管の再生医療まで、最先端の技術と知識をもつ血管のスペシャリスト。 

知久 正明●メディカルチェックスタジオ 東京銀座クリニック 院長。循環器専門医として血管内カテーテル治療から血管の再生医療まで、最先端の技術と知識を持つ血管のスペシャリスト。 


目の前が真っ暗、倒れそうになる場合は、すぐさま病院へ

 

――そもそも立ちくらみが起こるとき、体はどういった状態なのでしょうか?


立ちくらみは「脳貧血」と呼ばれる病態で、脳に十分な血液や酸素が行き届かないことで起こります。そして原因はさまざまなので、その症状には注意が必要です。

――見逃してはいけない立ちくらみの症状とは、どんなものでしょうか?

頭がクラっとしたときに目の前が真っ暗になるような立ちくらみは、不整脈をはじめとする心臓病を抱えている危険性があります。

心臓は全身に血液を運ぶポンプの役割をはたしているので、心臓がうまく機能していない状態では脳にも十分な血液を送れなくなります。

そのほか、脳の血管に異変があるケースも考えられますね。

――心臓病だけでなく、脳血管病でも起こり得るんですね。

脳には無数の血管が走っています。それらの血管がなんらかの原因によって詰まってしまうと、血液が行き渡らなくなり、脳が貧血の状態に陥ります。

倒れそうになるほどの強い立ちくらみや、一瞬の立ちくらみで終わらずに長く続く場合は、一刻も早く医師の診断を受けてください。

胃潰瘍は貧血を、糖尿病は神経障害を引き起こす


 
――男性では、貧血による立ちくらみは少ないのでしょうか?

男性の貧血そのものの頻度は、少ないことが分かっています。その代わり、男性が貧血を起こしている際には内臓からの出血をはじめ大病であることも少なくないので、決して放置してはいけないサインになります。

――内臓から出血!? それはどういう状態でしょうか……?

もっとも頻度が高いのは、消化器官からの出血です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍で起こることがあり、また過去にそのような診断を受けた方では胃がんや大腸がんのサインである可能性も捨てきれません。

胃カメラや便潜血検査などを受けたことがなく、立ちくらみが頻繁に起こる場合は、一度検査を受けた方がよいでしょう。

――たくさんの病気が関わってくるんですね。やはり生活習慣病がある場合も要注意でしょうか?

その通りで、高血圧や糖尿病と診断されている方では心臓病や脳梗塞のリスクがあるので注意が必要です。また糖尿病では、病気そのものが立ちくらみを引き起こすことがあります

――糖尿病で立ちくらみとは、初めて聞きました。

糖尿病の深刻な合併症の1つとされる「神経障害」によって起こる症状に、立ちくらみがあります。

ただし、これは糖尿病がだいぶ進行した状態で起こる状態なので、きちんとした治療を継続的に受けている方であれば、心配する必要はないでしょう。


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