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自律神経の乱れは、うつ病の引き金になることも



――危険な病気ばかりで、すごく不安になってきました。

特にコロナ禍になって、頻繁に起こる立ちくらみに悩んで相談にいらっしゃる患者さんがとても増えました。適切な検査や問診の結果、自律神経の乱れが原因である方が多くいらっしゃいます。

――自律神経が乱れるとは、どういうことでしょうか?

自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っていて、内臓の動きや体温など、自分の意思ではコントロールできないものをつかさどる神経です。

血液の巡りを調節する機能もあるので、自律神経が乱れると頭に十分な血液が運ばれず、立ちくらみが起こりやすくなります。

――テレワーク後に立ち上がったとき、クラッとするのはこのせいでしょうか?

断定はできませんが、その可能性が高いと思います。またお風呂あがりやサウナ後に立ちくらみしやすいのも同様です。今の生活に運動・睡眠不足やストレスなどといった、自律神経の乱れを引き起こすような素因を抱えていると考えてよいでしょう。

――立ちくらみのほかにも、起こる症状はありますか?

解消されない疲れや倦怠感をはじめ、下痢や便秘に頭痛と、その症状は多岐にわたります。またイライラしやすく情緒不安定になりやすくなるなど、精神的な症状もあります。自律神経の乱れによって起こる全身の不調は、うつ病やパニック障害をも引き起こしやすくなるので、意識して整えることが必要です。
 

自律神経を整えるカギは、良い睡眠の導入にあり



――意識的に自律神経を整える方法はありますか?

まずは日中のほどよい運動と、質の高い睡眠をしっかりとることです。また在宅ワークの普及によって、朝から夜まで仕事をする方が増えたように思います。夜まで仕事をする生活リズムは、自律神経の乱れに拍車をかけてしまうので避けた方がよいでしょう。

――夜間の仕事は、自律神経にとってよくないということでしょうか?

人間の体は本来、体内の動きを活発にする交感神経は日中に、休息させる副交感神経は夜にかけて優位になるようできています。なのでそれに逆行するかのような生活を続けていると、自律神経の調節障害が起こりやすくなるんです。

――グローバルタイムでの仕事や、夜勤が多くてもできる工夫はありますか?

睡眠の質を高める工夫として、心がけてほしいことがあります。
・帰宅後は間接照明を使用し、部屋を暗くして過ごす
・就寝1時間前に、40℃ほどのお湯で5~10分の入浴をする
・就寝1時間前に、ストレッチをする(筋トレなど、激しいトレーニングはNG)
就寝前に、副交感神経のスイッチを入れてあげることが重要です。逆に交感神経を活発にしてしまう飲酒はもちろん、帰宅後すぐにベッドに入ることも、眠りにとって良くありません。

――眠るための準備が大切なんですね。

その通りです。寝入りの2時間でいかに深い眠りにつくかが、睡眠の質にとっては重要なポイントです。仕事のスタイルに合わせて、ぜひ夜の過ごし方を見直してみてください。


立ちくらみの症状と頻度が、全身のコンディションを知るバロメーターになりそうだ。

長瀬瑠美奈=取材・文

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