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失敗③ 根なし草がゆえの“孤独感”



何かあったらいつでも戻れる場所がある。それがつまり「家」という存在なのだが、家を持たない西出さんの場合ホームがない。心の拠り所がないという問題があるという。

「全国に知り合いがいて、いろいろな地域コミュニティに所属してるとはいえ、そこに根を生やしているわけじゃないので、関わり方は限定的になります。相手も『西出はいなくなる存在だ』って思っているでしょうし。

気の持ちようだとは思いますが、ふとしたときに孤独を感じることはありますね」。

まさに今、西出さんはホームがないゆえの孤独感をどうにかしようと、新しいチャレンジを試みている。

塩尻のご近所さんからもらった新鮮な野菜で●●鍋!

ご近所さんからもらった新鮮な野菜で鍋を作ることも。


「実は今、長野県塩尻のシェアハウスに滞在していますが、ここを実家のような拠点にしようと思ってます。『ADDress』外で個人契約を結び、アドレスホッパーは引き続き継続する方法。

塩尻はご近所付き合いがあり、お向かいさんから野菜をいただいて調理することもあります。のどかでいい場所ですよ。実家的な存在ができれば精神的な安定が高まり、塩尻から持続可能な仕事をもらうチャンスも増えると思います」。
教訓③ 長期アドレスホッパーは実家的な拠点を作るべし!


失敗④ 多拠点生活の意味がなくなる忙しさ



平日、週末関係なく一日10〜12時間働く西出さんは、忙しすぎて外に一歩も出ない日が続くこともあったという。

「せっかく地方で多拠点生活をしてるのに、忙しすぎて部屋からほとんど出ないなら、都内で暮らしているのと変わらないですよね(笑)。そういうことはありました。だから、今は一日のルーティンを決めています」。

朝は気分転換を兼ねて外へ出て仕事をし、日中は拠点やコワーキングスペースを利用してオンライン会議などをこなす。夜はカフェやシェアハウスの共有スペースで仕事をしたりとまちまちだが、健康のためにサウナにも通うことも欠かさない。

「一日のスケジュールを決めてリズムが整えば、場所が変わる影響はほとんどなくなります。働き方も安定しますね。

あとは、余白の時間をあえて作って、付き合いで飲みに行ったり、サウナに行ったりします。アドレスホッパーになる前は、月に1回は高熱を出していましたが、サウナに通うようになって体調も良くなりましたね」。
教訓④ 一日のリズムを作るべし! 

ちなみに、アドレスホッパーの生活費はADDressの月額料を除いて月々12万円が相場だという。都内のひとり暮らしとそう変わらないはずだ。そこで西出さんから提案がある。

「もし、昔の僕みたいに日曜日の夜に憂鬱になるサザエさん症候群の人がいたら、一週間だけでも場所を変えて仕事をしてみると、それだけで気分が変わるのでおすすめです。

家と職場を往復するだけのライフスタイルの人にも、ぜひ試してほしいと思いますね」。

ぎぎまき=取材・文

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