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葛藤① 仕事のプロジェクト規模や裁量権が小さい

だが、そんな熱い想いとは裏腹に、目の前の現実には満足できていないという平澤さん。今は“公務員の壁”に直面している渦中だ。

「まさか自分の人生で公務員になる時が来るなんて…」。真庭市役所の前でポージングする平澤さん

「まさか自分の人生で公務員になる時が来るなんて……」。真庭市役所の前でポージングする平澤さん


「公務員とはいっても“経験職採用”の枠だったので、過去のスキルをもっと活かせると思っていました。でも、公務員としての基礎を想像以上に求められているのが最大のジレンマですね。

移住者であり、ビジネスマンだった僕の視点が、ひとりの職員の意見になってしまう。違う畑から来た僕のスキルや経験を活かせていないと感じてます。それでは僕がここにいる意味がないなって考えてしまいますね」。

分かってはいたが、プロジェクトのスケール感の違いも顕著だ。

「電通という大企業と比べると当たり前なのでしょうが、プロジェクトのスケールが大きいし、裁量権も大きかった。規模が大きい仕事はやりがいも楽しさもあったし、社会とのつながりも感じられた、というのは正直な思いです」。

葛藤②「ネットがあれば情報格差はない」は嘘

予想外の環境やジレンマと向き合いつつも「貢献したい」というモチベーションで日々邁進する平澤さん。

予想外の環境やジレンマと向き合いつつも「貢献したい」というモチベーションで日々邁進する平澤さん。


インターネットさえあればどこにいても欲しい情報は得られる。これは正しい。だが、偶然的に出合う情報に満たされる部分が実は大きいことに、平澤さんは移住後に気付いたという。

「インターネットがあれば情報格差なんてないって、僕もたかを括ってたんですけど、格差は結構ありました。

例えば東京の場合、歩いているだけで素敵なお店に出合ったり、お洒落な人を目にしたりする機会がありますよね? それって知らない間に自分の刺激になっていたし、自分を満たすものだったんだなって今になって思います」。

「田舎へ移住するなら、何か熱狂的に没頭するものを持ってる人の方が生きやすいと思います」と平澤さん。ちなみに平澤さん自身は多趣味派の非オタク系。

「田舎へ移住するなら、何か熱狂的に没頭するものを持ってる人の方が生きやすいと思います」と平澤さん。ちなみに平澤さん自身は多趣味派の非オタク系。


分かりやすい例が「本屋」だ。

「こっちの本屋ってセレクトされたものではなく、万人受けするものしか並んでないんですよ。刺激になる出合いがない。僕は浅くてもいいから多種多様な情報に触れていたいタイプなので、それでは満足できません。

でも、ここでじっとしていたら本当に何にも出合わないので、Facebook、Instagram、Twitter、TikTok全部やってます(笑)。ただ、これが結構疲弊するんですよね」。


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