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失敗③ 作業を甘くみて時間配分をミス 



「DIYに慣れていたので自分なら大丈夫だって思ってましたけど、リフォームを始めて3日目で『これは無理!できない!』って思いましたね。気が滅入ることがあっても、愚痴を言える相手もいない。精神的に追い詰められました」。

家の元オーナーが差し入れを持ってきてくれたり、コーヒーを飲みにおいでよと声をかけてくれたりしたのが唯一の楽しみで、「それ以外は地獄だった」と話す。

「好きで始めたのに地獄でしたね。壁を砕くのに2時間で終わると思ったら釘が頑丈で2日かかったし、1週間で終わる設定だったものがまったく終わらない

家のリフォームは20日で終わる計画だったんです。でも、移住から8カ月経った時点で完成したのは全体の8割。トイレのリフォームができていないまま自分の写真教室を開催しました(笑)」。

全く別のスペースにシャワールーム、洗面台を作るなど、難易度の高いリフォームを手がけた。

まったく別のスペースにシャワールーム、洗面台を作るなど、難度の高いリフォームを手がけた。


この5月に礼文島を訪れたときは、床一面に貼ったフローリングの一部が山みたいに盛り上がっていたという。

「びしっと完璧に貼ったと思ったんですけどね、フローリングを貼ったのは冬の乾燥した季節。だんだん暖かくなって、湿気で木が膨張したんですよ。まったくの想定外。

締め切りを設定すると、そのゴールに向かって頑張れるメリットはありますが、うまく行かないと焦。ちゃんとやっているつもりでも、塗り方や貼り方が雑になるんです。ゆっくり、3〜4倍の時間をかけて楽しんでやればよかったなって、今となっては思いますね」。

教訓③ DIYの時間配分は余裕を持つべし


ギャラリーをイメージした内装を心がけたという。今後は旅行者にも開放していきたいとか。

ギャラリーをイメージした内装の出来に大満足とのこと。


見切り発車だったリフォーム計画。現在はなんとか8割まで完成したが、振り返ればもっとうまくできたことは多分にある。とはいえ、今では礼文島に行く度に夢が広がり、次の滞在では何をしようと思案するのが楽しいという。

夜空の圧倒的な綺麗さも礼文島の魅力。「自然写真家として完璧な島」なのだという。

夜空の圧倒的な綺麗さも礼文島の魅力。「自然写真家として完璧な島」なのだという。


「時々、漁師の方が声をかけてくれて、バフンウニの剥き作業を手伝わせてくれるんですよ。採れたてのウニを食べたときの感動はすごかったですね。

まだのんびりできる年齢でもないので、仕事をしながら礼文島と本土を行ったり来たりですが、写真教室も始めたいし、礼文島をいろんな人に知ってほしいので、長期滞在できる施設も作りたいんです。

ゆくゆくは島のツアーや共同の無人販売所を始めたり、星空展望台を作ったり、そんな未来を想像しています。礼文島まで来るのは大変ですが、長く住みたくなる土地になると確信しています」。


古民家のDIYで失敗を重ねた柏倉さんだが、島の美しい風景と天秤にかければ取るに足らないものかもしれない。とはいえ、島への移住や家のリフォームを検討している人はぜひ参考にされたし。

赤澤昂宥=写真 ぎぎまき=取材・文

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