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レジリエンスを高めればストレスに強くなれる

編集部 皆さん大変な経験をされていますね……。いったいどうやって回復したんですか?

西村 そのカギを握るのが「レジリエンス」と「コーピング」というふたつの概念です。まず、レジリエンスは「回復力」「復元力」という意味の英語に由来し、心理学の分野では「心の回復力」を意味する言葉として使われています。
「レジリエンス」:ストレスからココロを回復させる
逆境や困難、強いストレスに直面したときに、自ら回復、復元する力のこと。近年、ビジネスの現場でも注目を集めている能力。レジリエンスが高ければ、困難な状況に直面しても、大きな精神的ダメージを負うことなく、すばやく立ち直ることができる。また、この力を高めていくと、仕事のパフォーマンスや集中力、問題解決能力、ネガティブな事象への対応力、営業力などが向上。さまざまなメリットが期待できる。

編集部 これが下がってくるとストレスに負けてしまうわけですね。

西村 レジリエンスを高めるには、ネガティブな思考を改める、自尊感情を高める、といったさまざまなメンタルトレーニング方法がありますが、私が最も効果的で、かつ手っ取り早いと思う方法のひとつが十分な睡眠をとること。質のいい睡眠さえとれれば、多少ストレスを受けても、ある程度は心身の状態を回復させることができますから。実際、メンタルの不調を抱えている人の約8割が睡眠不足だといわれています。私自身もしっかり睡眠をとって、睡眠の質を高めたことが回復につながりました。

編集部 眠れば回復するんですね。まるでRPGゲームのHPやMPみたい!

石井 睡眠は大切です。僕はメンタルダウン中、睡眠をたっぷりとりました。寝つきが悪いときも、夜中3時から昼まで、朝から夕方までというふうにとにかく睡眠時間を確保。そのうちにココロが回復していくのが実感できました。

小林 もちろん眠っても悩みの根本原因は解決しません。ただ、薬に頼ったとしても、眠ることでココロが回復するのは確かです。私は回復期から一日7時間以上は眠るようにしていて、今でも毎日スマートウォッチで睡眠時間と眠りの質をチェックしています。

編集部 睡眠のほかに大切なことはありますか?

西村 運動も効果的です。ただ、その人の体力や運動習慣にもよります。苦しいと感じるようなハードな運動はストレスになることもあるので注意が必要です。おすすめはウォーキング。私も散歩を習慣にしています。特に朝日を浴びると幸福ホルモンのセロトニンの分泌が促されるので、よく早朝から歩いています。

小林 私も毎日1万歩を心がけています。散歩ができないときは、オフィスまで歩いていったりして歩数を増やすようにしています。

石井 僕も回復期に散歩を取り入れましたが、確かな効果を感じました。ただ、朝は苦手なので、夜に30分ほど。歩いたあとはごちゃごちゃしていた気持ちが整理されて、リラックスした気分になれます。

編集部 3人揃って散歩が習慣に! 「うつ防止には散歩がいい」と聞いたことがありましたが、本当だったのですね!

西村 睡眠や運動のほかにも、低糖質・高たんぱくな食事や、自律神経を整えるマインドフルネスなどもレジリエンスの向上が期待できます。不思議なことにカラダにいいことは、ココロにもいいんですね。

<後編に続く>

芹澤信次=写真 押条良太=文

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