帰国して高校を卒業したが、海外への興味は尽きない。優貴さんはアメリカの某大学の日本キャンパスへの進学を選んだ。
「学費がかなり高かったので新聞奨学生になりました。英語を勉強しようと思っていたんですが、朝2時から朝刊準備と配達、学校に行って放課後に夕刊配達、夜は集金という生活で、正直、大変でした」。
当時の新聞配達用の自転車は電動アシストがなかったので、上り坂がキツかった。
配達エリアは本郷三丁目。楽しいこともあった。
「『ファイヤーハウス』というハンバーガー屋さんがとても美味しくて、ボリュームもたっぷり。何度も通いましたが、メニューの種類がたくさんあるところが飽きませんでした」。
本格的なアメリカンハンバーガーを提供する人気店。
大学を1年間で辞めて、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。その後いくつかの職を転々とした。「空調服」に出会ったのは派遣会社からの紹介。
「ああ、そういう商品を作っている会社があるんだって。中学のときに同級生が熱中症で亡くなったというショックな記憶もあって、これも縁なのかなと思って派遣社員として働き始めました」。
「空調服」を着ている人、好きですの図。
もともとは屋外作業に携わる人に使用されている商品だが、猛暑の影響でそれ以外の需要も伸びている。
今年7月に東京ビッグサイトで開催された「東京 猛暑対策展」は来場者が昨年比で約2倍。「空調服」のブースもコンシューマー向けに各ブランドとのコラボ商品を展示し、非常に好評だったという。
テレビ12社から取材を受けた。
さて、優貴さんを推薦してくれたのは同じ物流管理課の副長、渡邉めぐみさん。御社の看板娘、いかがですか?
「派遣で入ったときから、仕事がキレッキレでした。記憶力がすごいので、『前にこういう事例がありましたよね』とかの指摘で、ああ、この人すごいなと思って社員に推薦しました」。
自社の看板娘を絶賛する渡邉さん。
さらに続く。
「あだ名を付けるのが得意なんですよ。うちの「空調服」を買って着てきた山田さんという人がいるんですが、黒いベストだったので優貴さんいわく『家電量販店の店員さん』って」。
奇跡的に山田さんの写真も撮れました。
ここからは「空調服」について掘り下げましょう。
ファンも改良されているんです。
いちばん左が最新のファン、「FA01012」。
ワンタッチでファンを装着。
風速は4段階に加えて「ターボ」モードも。
優貴さんのイチ推しはリュックの背中を冷やす商品。昨年、高尾山に登ったときに快適だったという。
これならスイスイ登れそう。
この会社の取り組みはSDGsが今のように広がる前から注目されている。その証拠に環境大臣から表彰されているのだ。
地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞。
優貴さんは2年前から輸入業務も担当している。
貿易実務検定の資格を取り、いまは通関士の勉強中だそうだ。日本の夏を涼しくする「空調服」を裏で支えるキーパーソン、読者へのメッセージをお願いします。
意外と安いんですよ、ぜひHPをご覧ください。
[取材協力]「空調服」https://9229.co.jp