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2022.08.09

時計

セイコーのダイバーズウォッチを高みへ導いた冒険家・植村直己の偉業

冒険家、登山家 植村直己●1941年生まれ、兵庫県出身。’78年に犬ぞりで北極点到達、グリーンランド3000km縦断に成功。’84年、冬期のマッキンリー単独登頂で世界初の偉業を成し遂げた後、登頂成功を伝える無線交信を最後に消息を絶った。

冒険家、登山家 植村直己●1941年生まれ、兵庫県出身。’78年に犬ぞりで北極点到達、グリーンランド3000km縦断に成功。’84年、冬期のマッキンリー単独登頂で世界初の偉業を成し遂げた後、登頂成功を伝える無線交信を最後に消息を絶った。


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ダイバーズウォッチは、その名のとおり、ダイビングを目的に開発された時計だが、それは深海ばかりでなく、極限での使用に耐える時計と同義といっていいだろう。

そして究極の性能は、決して数値や実験室から生まれるものではない。植村直己とダイバーズの関係はそれを物語る。

1965年にセイコーが発表した国産初のダイバーズは、翌年から南極地域観測隊の装備品として実力を実証し、その3年後にはさらなる完成度を目指して磨きをかけた。これに注目したのが冒険家の植村直己だ。

’70年にはこのダイバーズを腕に、日本人初のエベレスト登頂を果たした。その後デナリ単独登頂を成功させ、世界初の五大陸最高峰登頂の快挙を達成。

エベレスト登頂という過酷な挑戦を通して寄せた絶大な信頼は、同年に発売されたダイバーズを’74年から’76年に敢行した北極圏1万2000kmの犬ぞり紀行に携行したことでもわかる。

「1970 メカニカルダイバーズ  現代デザイン  セーブ ザ オーシャンモデル」1970年発表のダイバーズをモチーフに、手首への干渉を避けるために4時位置に移したリュウズや、丸みを帯びたケースを再現。精悍なマリンカラーに200m空気潜水用防水を備え、70時間の持続時間は日常の用途にも応える。SSケース、42.7mm径、自動巻き。15万9500円/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ 0120-061-012)

「1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン セーブ ザ オーシャンモデル」1970年発表のダイバーズをモチーフに、手首への干渉を避けるために4時位置に移したリュウズや、丸みを帯びたケースを再現。精悍なマリンカラーに200m空気潜水用防水を備え、70時間の持続時間は日常の用途にも応える。SSケース、42.7mm径、自動巻き。15万9500円/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ 0120-061-012)


その系譜を受け継ぐ新作はこの植村が愛用したモデルをベースに、ホワイトダイヤルは北極海の氷河を思わせる。搭載される自動巻きムーブメント6R35は、70時間のロングパワーリザーブだ。

「道具というのは、信頼できることがいちばん大事です」。

植村は生前こう語ったという。そうした道具と出会い、冒険家とダイバーズはより高みを目指して歩みをともにしたのだ。

※本文中における素材の略称は以下のとおり。SS=ステンレススチール

村本祥一(BYTHEWAY)=写真 柴田 充=文 文藝春秋=資料提供

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