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2022.08.05

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旅行でストレス発散! にはエビデンスがあった。その理由を星野リゾート代表が深掘る

当記事は「星野リゾート」の提供記事です。元記事はこちら

星野リゾート代表・星野佳路が立教大学現代心理学部の教授・小口孝司とメンタルヘルスツーリズムについて対談。いったいどんな内容が話されるのか。

旅行でストレスホルモンが減る!?

星野 小口先生の研究していらっしゃる「メンタルヘルスツーリズム」というのはどういうものなのですか。

小口 メンタルヘルスツーリズムは精神的健康を維持、向上することを目的とする旅行です。言ってみれば、“癒す旅”です。

星野 それはエビデンスがあるものなのですか。

小口 はい、旅行のメンタルへの効果は実証されているのです。たとえばこんな実験をしました。通常の週末を過ごす方と1泊2日の旅行に参加の方の2群を作りました。旅行群は、旅館に泊まってもらって、さまざまな活動を行っていただきました。

旅行に行く前、最中、行った後に調査したところ、旅行に行った群は旅行に行かなかった群よりも、コルチゾールというストレスホルモンが低くなっていたのです。

星野 ストレスホルモン!

小口 はい。ストレスが高まるとコルチゾールの値が高まるのです。たとえば今のような新型コロナウイルスの状況だとストレスが溜まっていて、コルチゾール値が高くなっている可能性があります。そのコルチゾール値が、旅行によって顕著に低くなったのです。

星野 何がストレスの低減に効いたのですか。

小口 何が効いているのかは、まだ特定できていません。タラソテラピー、農業体験などいろんなものを組み合わせて行ってもらいました。タラソテラピーが、ストレスの低減効果が大きかったため、非日常の体験が良いといえるかもしれません。

その後別の研究で、ある企業の方に、山梨にあるメンタルヘルスに特化したホテルに1日滞在していただきました。その際は、コルチゾールではなく、脈波(心拍)を測りました。心拍を解析すると、ストレスが高かった人は、旅行後(Post)は旅行前(Pre)よりもストレスが軽減されていました。

星野 旅行がストレスを軽減する。メンタルヘルスツーリズムを満たす要件というのはあるのですか。

小口 いくつかあると思うのですが、まずストレスの原因から心理的距離が遠くなること。仕事をしている日常から離れることでも、リフレッシュやリラックスできます。

たとえば上司からいろいろ言われて悩んでいた場合、日常の場所から離れてみると「なんだ。上司の言ってることってそんな大したことではないな」と思えたりする。そういう心理的距離をとるというのは大事だと思います。



星野 昔はそれを転地効果とか言ってましたね。

小口 そうですね、物理的距離によっても、心理的距離をとることができますね。

星野 両方とも必要ということですか。

小口 はい、物理的距離を取れば取るほど心理的距離は遠ざかると思います。しかし、疲労しているときには、長い物理的距離を取ることは難しくなりますね。

星野 そうなのですね。では、先ずは近くに移動して距離を取るのが効果的ですね。


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