知らないと怖いカラダのサインとは…… 降り注ぐ強烈な紫外線に大量の汗……そのせいか夏は髪と頭皮のトラブルが起きやすい季節だ。
「毛根がない抜け毛と灰白色のフケを伴う抜け毛は、
脱毛症の一歩手前を示す危険なサインと考えていいでしょう」。
そう語るのは、『東大医師が教える 最強の育毛革命』の著者としても知られる育毛のエキスパート、田路めぐみ先生だ。
脱毛症の原因とその対策を詳しく聞いた。
話を聞いたのはこの人 田路めぐみ●「松倉クリニック 表参道」医師。東京大学医学部卒業。日本抗加齢医学会専門医、日本形成外科学会専門医。数々の臨床病院で形成外科チーフ職を歴任。著書の『東大医師が教える 最強の育毛革命』(集英社)は今年、中国版も発売された。
健康な毛髪は“マッチ棒”の状態
©︎Ackun/iStock
―― 抜け毛=「脱毛症のサイン」と考えるのは早計ですか?
一日に抜ける髪の毛は50~100本ほどといわれ、これくらいなら、まず正常の範囲内といえます。また、季節や体調によっても変化するので、100本を少し超えるくらいなら心配はいりません。ただ、
明らかに抜け毛が以前よりも増えていると感じる場合は、脱毛症の可能性が考えられます。
――医師は抜けた髪から健康状態をチェックできると聞いたのですが、本当でしょうか? ある程度なら可能ですよ。まず、健康な髪は根っこのあたり(毛根)の部分が白くて
丸いマッチ棒のような状態。毛根が丸く膨らんでいて、毛先へ向かって細くなっているのが特徴です。
――となると、不健康な髪は毛根が細い? 毛根そのものがない髪です。こうした状態は毛を作り出す毛母細胞が弱っていることの証。また、
毛根が細くて頼りない場合も心配です。髪は毛母細胞が分裂して連なり、そこから細胞核が失われ、死んだ細胞のたんぱく質や骨格が残ったものですので、細い毛根は栄養が不足して十分に細胞を作ることができていないんです。
――カタチがポイントなんですね。ちなみに、「髪質」では判断できますか? 髪質もわかりやすいですよ。
真っすぐとしたツヤのある太い毛が健康です。反対に切れ毛や枝毛は髪そのものへのダメージでもありますが、うまく細胞が作られていないことが原因の一つになります。
生え際の抜け毛はAGAの可能性も
――抜け毛といえば、AGA(男性型脱毛症)との関連も気になります。 AGAによる抜け毛の場合は、男性ホルモン受容体が発現する
前頭部や頭頂部が薄くなってくる場合が多いです。だから、生え際が後退したり、頭頂部が特に薄くなったりしやすい。
また、頭皮の内側で毛根を保護して髪が抜けないように保護している「毛包」という皮下組織があるんですが、AGAによって毛包も徐々に小さくなるため、
細く短い髪が増え、本数自体も減ってきます。
――生え際が後退している気がします……AGAの治療は病院でも受けられますか? はい。よく用いられるのはフィナステリドやデュタステリドという内服薬です。前頭部から頭頂部に存在する体内の還元酵素である「Ⅱ型5αリダクターゼ」や、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)を産生することがAGAの発症に影響すると考えられていますが、いずれの薬もこの酵素を阻害する働きがあります。
ほかにも育毛注射やメソセラピー、鍼治療などがあります。
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