OCEANS

SHARE

灰色がかってみえるやばい“フケ”の正体

©︎Andranik Hakobyan/iStock

©︎Andranik Hakobyan/iStock



――AGA以外に、知っておくべき脱毛症はありますか?

オーシャンズ世代に多いのが、粃糠性(ひこうせい)脱毛症。これは皮脂の過剰分泌によって頭皮が炎症を起こし、赤みやかゆみ、湿疹が表れ、額や頭全体に細かい灰白色のフケが発生します。これらの症状とともに髪も薄くなっていきます。

――灰白色って……普通のフケとは違うんですね。

普通のフケは白いのですが、粃糠性脱毛症によるフケは炎症による色素沈着や角質肥厚(※)、皮脂の浸透によって、やや灰色がかって見えるといわれています。ただ、私が診療してきた経験では、粃糠性脱毛症の場合でもそれほど灰色がかったフケは見たことがなく、白く見える場合がほとんどですね。

ターンオーバーの乱れで角質が残り、厚みを増すことで肌がゴワついて見える状態。

――髪自体にも変化はあるんですか?

頭皮の炎症が続くにつれて、髪が細くなってくるんです。そのため、髪型のボリューム感が減って薄く見えるようになります。進行すると、発毛にも障害が発生し、だんだん生えなくなっていきます。

――怖いです……。具体的にどんなことが原因と考えられますか?

原因は過剰な皮脂分泌です。男性ホルモンバランスの異常や過度なストレス、糖質過多による食生活の乱れ、アレルギー体質などが複合的に関わっていると考えられます。

かかりやすい年代としては、男性ホルモンが急激に増加する思春期以降。また、働き盛りの男性もストレスによってホルモンバランスが崩れやすく、糖質過多の食事になりやすいため、注意が必要です。

シャンプーは保湿力があるものを選ぶべし



――とにかく髪と頭皮を清潔にしたほうがよさそうですね。

そうですね。ただ、洗浄力の強いシャンプーを使ったり、洗いすぎたりするのは逆効果。必要な皮脂を取ってしまうことで、かえって頭皮を乾燥させてしまい、炎症が悪化してしまいます。洗浄力が適度なもので、かつ保湿力のあるシャンプーがおすすめです。

――病院ではどんな治療を行いますか?

頭皮の炎症を抑えるステロイドや過剰な皮脂分泌を抑える外用薬、かゆみには抗ヒスタミン剤を処方します。真菌(カビ)が加わって皮膚炎が治りにくいケースでは、抗真菌剤を含むシャンプーを使うことも。

――やはり毛根のない抜け毛と灰白いフケを伴う抜け毛は要注意ですね。

特に抜け毛が急速に進行したり、カラダの変調を伴ったりする場合は早めの受診をおすすめします。

抜け毛を防ぐためにもっとも大事なのは、ヘアケアや食事、睡眠、ストレスといった生活習慣を見直すこと。抜け毛が気になると、男性はすぐに育毛剤や育毛注射に走りがちですが、髪は毛根や頭皮だけの産物ではなく、体全体で生み出されています。



まさに髪は健康のバロメーター。脱毛症のサインを見逃さないよう、定期的に髪の状態をチェックしてみよう。

押条良太=取材・文

SHARE

次の記事を読み込んでいます。