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桓騎の側近に垣間見た人間味と男気

平山 桓騎の側近の雷土(らいど)も、なんか気になるんですよね。



編集部 桓騎軍の副将的なポジションで、桓騎に唯一正面から異論を唱えられる存在でもありますよね。でも、ここで雷土の名前が出るとは正直、予想外でした。

平山 最初はそこまで目立つキャラではなかったのですが、登場回数が増えるにつれて、その言動のカッコよさに気づくんですよ。

編集部 男気があります。



平山 桓騎の戦略を何も知らされずに扈輒(こちょう)軍と戦いますよね。他の軍よりも前に出過ぎてことごとくやられ、みんな弱気になって散り散りに逃げていこうとするじゃないですか。

編集部 はいはい。あれは逃げたくもなりますよね。

平山 もとは野盗の集まりですからね。でも、みんなが諦めムードになったとき、雷土は「それでもお前ら桓騎一家か」と男気を出してくる。

編集部 利己的で残忍な桓騎軍のイメージとはちょっと違いますよね。



平山 そう。「ちょっと勘弁してよ。それ、あなたたちらしくないでしょ」って思いました。急にそんなこと言われたら、グッときちゃうから(笑)。

編集部 いい意味でのギャップ。

平山 その後、雷土が敵に捕まって拷問を受けますよね。腕を切り落とされ、生きて帰れないことを悟ったとき最後の心の声。「ああ、もう一回だけ、お頭としゃべりたかったな」っていう。



編集部 ありましたね。

平山 まさかこの人たちにホロッとさせられるとは思わなかったですよ。このあと、桓騎は捕虜にした何万人もの趙兵を虐殺する。雷土の復讐かは定かではないけど、引き金のひとつになったことは間違いないと思います。



編集部 非人道的で許しがたい行為が目立ちますが、だからこそ人間味溢れる一面が際立ちますね。

平山 最後、切り刻まれた雷土が、箱に入れられて桓騎軍の本陣に送られてきますよね。その雷土の表情を見ると、なんだか穏やかな表情に見えちゃうんですよ。桓騎と過ごした日々は、彼にとってすごく楽しかったんだろうなって。さすがに切ない気持ちになりました。

編集部 連載では今もまだ、この戦は続いていますから(2022年7月時点)、今後の行方にも注目ですね。


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沼尾翔平=写真 菊地 亮=取材・文

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