すべての素材がアップサイクル
JAPAN MADEは「共息」をコンセプトに、日本のモノづくりの持続可能性を高めるべく活動するプロジェクト。河野が2016年に広告会社の社内事業として立ち上げたが、その後独立し、これまでに日本全国200カ所以上の工房を取材、その営みを紹介してきた。
河野は、立ち上げ当時に金井と出会い、取材やイベントなど長らく交流を続けてきた。そんな金井から、余った「イ草」の活用アイデアを聞き、JAPAN MADEの6人のメンバーとともにアップサイクルマットを企画した。
アップサイクルマットの着想はヨガマットから。
「一般的なヨガマットのほとんどがPVC(ポリ塩化ビニル)でつくられています。ヨガは自然と一体化する行為でもあり、自然派志向のヨギーも多いので、イ草を使ったマットはニーズがあるのではと考えました」(河野)
アクティブなヨガには向かないが、軽いヨガには使用できる
また、イ草以外の素材もすべてアップサイクルの視点で採用。マットの裏地には、ワインのコルクを活用した「TOKYO CORK PROJECT」のコルクマットを使い、縁には、岡山のデニムブランド「ITONAMI」のデニム端材を使用した。
「ITONAMI」のデニム端材を使った縁
サイズは大小の2種類展開。大きさに合わせて、軽めのヨガ、ストレッチ、瞑想、昼寝、ピクニックシート、座布団、ラグ、インテリアなど、幅広いシーンで使えるよう工夫した。
大サイズ(横179cm x 縦65 cm x 厚さ0.5cm)が2万5000円、小サイズ(横96cm x 縦65 cm x 厚さ0.5cm)が2万円
従来の畳とは違う形で、消臭や抗菌、リラックス効果など、畳がもたらす本質的な機能・価値に触れてもらうことで、次世代にその魅力を伝えることも狙いだ。
天然素材を原料としている畳は赤ちゃんも安心して寝かせられる
畳文化が忘れられないように
JAPAN MADEにとって、商品開発は初の試みとなったが、河野は今後もモノづくりを通して職人の仕事や文化をより多くの人に広め、新たな需要を生み出すことを目指している。
「JAPAN MADEはメディアとして誕生しましたが、発信だけではなく、プロダクト開発やイベントの企画・実行なども含め、モノづくりに関することはなんでもやっていきたいですね」
金井もまた、国内外を問わず「畳文化」をたくさんの人に知ってもらうために、できることを模索している。
「今のまま畳屋が減っていくと、日本の畳文化自体が忘れられてしまいます。素晴らしさが忘れられ、利用される場面が減っていくことが辛い。従来の形にとらわれることなく、その魅力を伝えていきたいです」