日本屈指の繊維商社と、海好きな俳優が手を組んだ
右に配した大きなファスナー付きポケットがポイントの長袖Tシャツ。生地を切り替えたモックネックと袖口も小粋なアクセントに。背面のプリントは今季のテーマ「海底」を表現したものだが、これまで音楽の曲名をデザインに落とし込んできた背景から、マーヴィン・ゲイの楽曲タイトル“Inner City Blues”(無への叫び)』をSDGsへのメッセージとして採用した。左から2万4200円、1万9800円/ともにニューオーダー(ミツメ トーキョー 03-5768-0744)
日本国内でもこうしたアップサイクル素材の研究・開発は進んでいる。
繊維商社の豊島は、2021年4月にリサイクル繊維「アップドリフト️」の展開を開始。
海、川、森の清掃活動によって回収したペットボトルなどを原料としており、この素材を用いて環境負荷の低い製品を作り出している。
ごみ回収後に粉砕してフレーク状にし、ペレットに加工。そのペレットを溶かして「アップドリフト」の糸が作られる。
「石垣島のビーチに打ち上げられた大量のプラスチックごみを目にしたことが、素材開発のきっかけです。
地域で活動する団体や自治体と連携して清掃活動を実施。今は海だけではなく、川や森に散乱するペットボトルなども原料として回収しています」(豊島・中村洋太郎さん)。
この中村さんと茨城のビーチで出会い、自身が手掛けるニューオーダーで「アップドリフト」を使用したTシャツを作ったのが、俳優の駿河太郎さんだ。
2019年9月より継続的に行われているビーチクリーン活動。
中村さんも駿河さんもともにサーファー。海に対する共通の思いが、このコラボレーションを成功へと導いた要因に違いない。
「この素材を少しでも広めるようなお手伝いができればと。『アップドリフト』にコットンを混ぜることで、いい感じの風合いに仕上がったと思います。
長く着てもらえるような、使い捨てではない服を作ることも、僕らができるサステナブルだと思うので」(駿河さん)。