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多くの人は“不動産営業が住まわせたい物件”に住んでいる

――「とりあえず」の連発は気を付けないと、ですね。

そもそも、自分が住みたかった物件ではなく、営業マンが住まわせたい物件に住んでいることも多いです。

――ど……どういうことですか?

広告料というのがありまして、早く入居者を決めたい、条件が悪い物件などは、オーナーが弱気になって「手数料を1カ月上乗せするので何とか契約を決めて来て下さい」と、条件を良くするんです。

すると営業マンは、お客さんからの仲介手数料に加えて広告料ももらえるので、売り上げが2倍になる。

ちなみに良い物件は黙っていても契約が決まるので、広告料は付かないことが割と多い。そうすると売り上げが2倍の物件を勧めてくる、というワケです。

――自分の条件と違う物件ばかりを勧められたら要注意ってことですね。

そうですね。条件に合う物件はないと言われて、勧められるままに、自分が住みたい物件とズレているところに住んでいる人はとても多いですよ。

――そういう不動産営業に当たりたくないですね〜。見分ける特徴はありますか?

う〜ん。先に店舗の清潔感についても触れましたが、もちろん清潔感のない営業マンもダメです。



爪が伸びていたり、靴のかかとがすり減ったままだったり。

不動産営業は靴のかかとがすり減りやすいのですが、ケアせず放っておくような人は仕事もズボラです。

あと、日当たりがいいとか、部屋が広いとか、分かりやすいポイントでアピールしてくる営業マンは信用しないほうがいいです。

それよりも、コンセントの配置や家具の置きやすさ、ベランダの状況から隣に変な人が住んでいないかなど、プロ目線でチェックしたことを、それがマイナスであっても正直に伝えてくれる人は信頼できます。どんな物件にも、必ず悪いところはあるものなので。

あとは内見の基本である、スリッパやメジャーを持ってきているか、窓を開けて換気をしているかなどはチェックしてください。

それと宅地建物取引士の資格を持っているかどうか。これは名刺に書いてあることが多いので、もらったときに確認しましょう。

――不動産営業は全員、宅建の資格を持っているものだと思ってました。

物件を案内をする人はほとんどが持っていませんよ。

1人が宅建の資格を持っていれば、従業員を5人まで雇えることになっているんです。こういう業法があるから、営業マンの質がどんどん悪くなっていくんだと僕は思っています。

――でも、宅建の資格を持っていないと契約できないんじゃないですか?

その通り。資格がないと重要事項説明が行えないので、契約時になると奥から資格を持ったオバちゃんが出てくることが多いです(笑)。

宅建は実務で使うことはほとんどありませんが、少なくとも勉強をする意気込みがあったという証明になりますから。

――なるほど。チェックするポイントは意外と多いですね……。ほかに気を付けるところはありますか?

まず引っ越そうと思ったら、面倒くさがらずに不動産会社を何軒か回って、相性の良い営業マンを探すといいでしょう。

で、見つけたら、その営業マンに意思を伝えるのがポイントです。「あなたに任せたいので、お願いします」と言われると、営業マンも「よし! 絶対に良い物件を提案しよう」と気合が入ります。

逆に、「ほかにも不動産会社、回ってます」とか、「知り合いに不動産営業がいます」はスーパーNGワードです。

そう言われると「契約はほかの不動産会社で決まっちゃうかもしれないしな」と、テンションが下がってしまいます。

あとは開口いちばんに「仲介手数料を安くして」と伝えるのは控えたほうが良いかと。

「だったら、きちんとお金を払ってくれるお客さんを優先しよう」ということになって、良い物件には出合う確率が減ってしまいます。

最初にケチって変な物件に住んだら、元も子もありません。住む家で人生は変わりますから、ケチらず、良い物件を見つけてください。


良き物件に出合うには良き不動産営業に出合うことが大切。

引っ越しを考えている人は、ぜひ鈴木さんのアドバイスを参考にして、自分に合う「正直不動産」を見つけてほしい。

林田順子=取材・文

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