当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。この1カ月ほど、過去に投資未経験者や初心者向けにさまざまな媒体で書いた“NISAの記事”が読まれているという連絡を受ける機会が何度もあった。
とくに株式市場に大きな動きもなかったのに不思議だなと思い、その理由を探っていると先の総裁選や衆院選で「金融所得税率の引き上げ」や「NISAへの課税」という話題でSNSが盛り上がったからということがわかった。結果としてはいずれも実現はしなかったのだが、せっかくの機会なので改めてNISAについて書いてみようと思う。
NISAの記事が再び読まれたキッカケ
NISAを理解するためには税金についての基礎知識が必要だ。税金と一言でいってもさまざまな種類があるが、ここでは所得税について簡単に説明をする。働いて得た給料の一部が所得税として徴収されていることは多くの方が知るところであろう。
そして、所得税には所得が多いほど税率が高くなる、いわゆる「累進性」がある。例えば、年間の課税所得が195万円未満だと税率は5%だが、課税所得が4000万円以上になれば住民税も含めて税率は最高の55%(所得税45%・住民税10%)となる。
なお、念のためお伝えしておくと、4000万円以上は45%だが、それ未満の部分は各税率区分に該当する課税所得の税率が適用される。
しかし、インカムゲインと呼ばれる株式などの金融商品から受け取る配当金や、キャピタルゲインと呼ばれる株式の売買益は同じ所得でも「金融所得」という扱いになり、これらは各人の所得や資産の多寡にかかわらず一律で20%(所得税15%、住民税5%)となっている。
その結果、いわゆる富裕層は所得に占める金融所得の割合が大きくなる傾向があり、金融所得課税は一律で20%なので、富裕層ほど所得全体で見た税負担率が下がっていくため、その格差を是正すべく金融所得課税を見直して、一律引き上げようという議論が生じ、個人投資家を中心にSNSで議論が盛り上がったのである。
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