さて、そろそろ今の仕事について聞いてみよう。
「居酒屋のバイトを辞めようと思って、アパレルも好きだったのでザ・ノース・フェイスのアルバイト募集に応募しました。オープンの3カ月後ぐらいです。何もわからないので、商品知識を必死で勉強して。初めてのフルタイム勤務で最初はしんどかったんですが、体がすぐに慣れました」。
キャンプやグランピングが好きという点も性に合っていた。
「キャンプでは焚き火の側でレモンサワーを延々と飲んでいます。最近のベストレモンサワーは渋谷にある『鳥どシ』という居酒屋の『最強レモンサワー』。レモンが丸々一個分入っているところに、チューハイを注ぎ足しながら飲むんです」。
では、満を持して店内の商品について教えてください。
「オルターはカラーグラデーションの陳列が特徴ですね。うちはメンズ専門なんですが、女性のお客様もよく買いにいらっしゃるんです。私自身もメンズしか着ないので、同じ女性目線で対応するようにしています」。
ほかの系列店にはない独自の陳列方法。
「5月の中旬からはイチオシ商品のポンチョ類が並んでいます。今年はポンチョコレクションが充実しているので要チェックです」。
突然の悪天候に対応できる防水ポンチョ。
「これはアクセスポンチョといって、アイテムの中で唯一ボタンで袖の開閉を調節できます」。
全部外すと羽織のように着られる。
無染色でゴアテック素材のアンライドジャケットも人気だ。写真は今年の春夏もの。
左がフルジップのジャケット、右がアノラック。
ここで、推薦人の方をお呼びしよう。先輩スタッフの森口雅司さんだ。
「梨緒さんのいいところですか? たくさんありますよ。まず、柔軟性に優れている。喋るトーンがやさしい。お洒落。接客がうまい。人の話を聞くのが得意なので、いろいろと聞き出してお客様が満足するリアクションを取れる」。
2人とも店のインスタグラムでは自らモデルとして商品情報を発信している。
ちなみに、梨緒さんは2021年の2月に正社員に登用されたが、本人は「なぜ受かったのわからない」と首をかしげる。しかし、森口さんは言う。
「友達の頃は外で遊ぶのが好きだったという原体験の部分は大きいですね。居酒屋のドリンカーの話も含めて、基本的には真摯に仕事に取り組む体育会系だと思います。さらに、女性マーケットも確立したい時期だったので彼女の意見は貴重。インスタを含めていいアイコンにもなっています」。
なるほど。もう少し店内を回りましょう。
これらはオルター店のみの限定商品。
ザ・ノース・フェイスは1966年にアメリカで創業した。なんと、当時のカタログも置いてあった。
表紙をプリントしたTシャツもオルターのオリジナル商品。
店の中央にはザ・ノース・フェイス創業以来の環境への取り組みから、日本の商標権取得までの歴史が記されていた。
1966年にサンフランシスコで開かれたオープニングイベントには、当時は無名だったThe Grateful Deadも参加とある。
店の入り口には創業当初の環境に対する理念が展示してある。
その下に生えているのは本物のコケ。
白くて小さいものは、梅雨の時期が近づくと生えてくるキノコ。
コケもキノコもサステナブルな存在。
というわけで、現在、ザ・ノース・フェイスはこの周辺一帯にジャンルやコンセプトが異なる7軒の店舗が密集している。
さらに、7月にはアスレチック専門店がオープンするそうだ。近い将来、明治通りは、ザ・ノース・フェイス通りになりそうだ。
梨緒さん、最後に読者へのメッセージをお願いします。
そう、本当に密集しているので楽に巡れるんです。
[取材協力]THE NORTH FACE ALTERwww.instagram.com/tnf_alter/www.goldwin.co.jp/tnf/shoplist/