OCEANS

SHARE

ECに店頭での体験価値をクロスさせる

アドアーリンクが注力するもう一つの事業であるD2Cブランド「オー・ゼロ・ユー」は、30代〜40代前半の子育て世代をターゲットとして展開している。

ECサイトでは、すべての商品の説明に、原材料の調達から商品のライフサイクル全体を通して排出されるCO2量である「カーボンフットプリント」と、「水の消費量」を明記している。例えば、半袖Tシャツであれば、カーボンフットプリント2.7kg、水の消費量は418.5lだ。

ECサイトでは、CO2や水の削減効果は、杉やペットボトルの本数で表現するなど、分かりやすく伝えている(商品画像の下)

ECサイトでは、CO2や水の削減効果は、杉やペットボトルの本数で表現するなど、分かりやすく伝えている(商品画像の下)


D2Cブランドではあるものの、オフストアでの販売や、ポップアップストアも積極的に行っている。スタッフとの会話や商品に直接触れることを通じて、顧客にサステナビリティやブランドへの理解を深めてもらう狙いがある。

「グループ全体で1400を超える店舗を持つアダストリアは、どの企業よりもリアル店舗の重要性を理解していると思います。もちろんECは伸ばしていきたいですが、店頭での体験価値をクロスさせながら、ブランドへの共感を得ていくことが重要です」

カーボンニュートラル実現の旗振り役に

アドアーリンク創業から1年半。まずは事業として独り立ちし、サステナブルな企業に育てていくことが第一ステップとなる。

福田が掲げる目標は、成功事例をアダストリアに還元すること。カーボンフットプリントの明記や受注生産なども、コストや労力とリターンが見合うかどうか、本当に生活者が求めることなのかどうかを実験していく。

「アドアーリンクでは、アダストリアにもステークホルダーにとっても、最善の道筋を検討していきます」



福田は、「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)に向けた取り組みはファッション業界全体で遅れているように感じる」と話す。長い間サプライチェーンが分業で成り立ってきたために、一製品が出来上がるまでのカーボンフットプリントを追うことが難しく、その上削減しなければならないというのは難易度が高いからだ。

「まずはアドーアリンク、将来的にはアダストリアとしてもそこに取り組み、業界のリーディングカンパニーの1社として旗を振っていきたいと思っています」


三ツ井香菜=文 田中友梨=取材・編集 山田大輔=撮影
Forbes JAPAN =記事提供

SHARE

次の記事を読み込んでいます。