連載「ファッション・カルチャー投資学」とは…… オーシャンズ世代にとっても馴染み深いネイティブアクセサリー。
なかでも近年、ターコイズ愛好家は世界的に増えつつあるという。それだけに、良質なストーンの価格高騰は、歯止めが効かないと聞く。
前回に引き続き、日本でも指折りのターコイズ収集家として知られるバーニーズ ニューヨークの中野光章さんに、その驚くべき市場の現状を聞いた。
▶動画も観てね! 中野光章(なかの・みつあき)●バーニーズ ニューヨーク ブランドコミュニケーション部ディレクター。日本を代表するターコイズラバーの一人。座右の銘は〝インディアンジュエリーは出逢ったときが最安値″。
2000年代に加速度的な価格高騰が始まった
天然で良質なターコイズは、数百万円の価値がある。そう聞くと、驚きとロマンを感じずにはいられないけれど、そもそもターコイズの価値が上がり始めたのには、どんな理由があるのだろうか?
――ターコイズの価格が高騰し始めたのは、いつ頃なのでしょうか? 「自分が記憶している限りだと、2000年代前半ですね。例えば、ビズビーの石ですと、当時1カラット(0.2グラム)で8000円出せば良い石が買えたものが、いつしか倍になり、2万円になり、さらに3万、5万と高騰していきました」。
日本を中心に、ターコイズの名著が出版され、少しずつその価値が明確化していった
――高騰した要因は、何なのでしょうか? 「日本主導のイメージがあります。2000年代に、日本でターコイズに纏わる専門的な本が数多く出版されて、それまではわりと一緒くたにされていたターコイズが、鉱脈ごとに特徴が精査されて、一般的にも価値が明確化していったのです」。
――どの鉱脈のどんな石が、どれだけ希少か? みたいなことが明かされていったと。 「そうですね。なかでも(バーニーズ ニューヨークの)ビジネスパートナーでもあるスカイストーン・トレーディングの小寺康友さんの著作『完全版ターコイズ・ブック』の影響力は絶大で、国内外のコレクターの目が養われるきっかけになりました」。
石には、鉱脈ごとに特性がある。それを知ることは、ターコイズ選びの指針となる。写真は『ターコイズ 大地の贈り物 インディアン ジュエリー』。
――なるほど。そんな流れで、価値のあるターコイズは、日本に多く集まるようになったのですか? 「総量でいえば、もちろん今もアメリカに集まっているのですが、いい石を買うチャンスに恵まれているのは、日本だと思います。精査された石が出回っていますから」。
中野さんは、「ターコイズは今が買い時」だと言い切る。
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