OCEANS

SHARE

ミドリムシとの運命的な出逢いはガンダム世代が憧れた“地球連邦軍”がきっかけ?

星野 で、そのミドリムシがすごいことになるという話なんですけど、ミドリムシに目を付けたのは随分前なんですね。

出雲 二十歳の頃です。

星野 そのきっかけを。

出雲 もちろん、何度でも。よく誤解されるんですけど、小学生の時から、ミドリムシ好きの変な子じゃなかったんですよ。(笑声)

高校1年生の時にテレビで見たアニメ『ガンダム』がきっかけなんです。主人公の父親が働いている地球連邦軍を見て、地球連邦軍は現代の国連に似ているなと思い、純粋に「国連はすごいところなんだ」と憧れていました。

その憧れから将来は国連に就職しようと思っていたんです、ずっと、ですよ。

で、国連に就職するには、学生時代からインドやアフリカで修行すれば就職しやすいんじゃないかと、色々調べたんですね。そうしたら、バングラデシュが大変だと知ったんです。

星野 それで実際にバングラデシュに行ったんですね?

出雲 大学1年生の夏休み、バングラデシュに行ったんです。すると、現地では栄養失調でみんな困っていましたから、これはいかんと。この国に必要なのは栄養だと。

その後、日本に戻ってからずっと栄養の勉強をして、栄養に詳しくなって、日本から栄養満点のものをバングラデシュに持っていこうと決めたんです。

振り返れば人生の重要な基点となった『ガンダム』の地球連邦軍、国連、バングラデシュなど、子供の頃からの夢や今に至るストーリーを語る出雲氏。

振り返れば人生の重要な基点となった『ガンダム』の地球連邦軍、国連、バングラデシュなど、子供の頃からの夢や今に至るストーリーを語る出雲氏。


もう一つの理由は、バングラデシュに友達ができて、帰国の際に「いつかまた会おうね」と話すと、「いや、これが多分一生で最後の別れだ。出雲は、世界中で楽しいところが好きになって、バングラデシュのことなんて忘れちゃうだろうし…」と言ったんですね。

「日本に来るお金がないんだったら、バイトして貯めればいいじゃん」と言ったら、「私たちはみんなパスポートもない。家が貧しくて、生年月日も適当で、親もそういうのが分からない。

パスポートって、出生日を必ず書くじゃないですか。お金がないからじゃなくて、パスポートが取れないから日本に行けない。出雲はバングラデシュみたいな国にはもう二度と来てくれないだろうから、これが最後だ」と。

星野 なるほどね。適当に誕生日作るしかないですね。

出雲 そうなんですよ、私が18歳の時でした。そんな話にびっくりして、「絶対来る!」と。でもその時には、栄養満点のものを持ってくるからと思い、栄養の勉強をしたんですよ。まさか、ミドリムシを持っていくなんて思わなかったですね(笑)、自分でも。

星野 なにしろ、出雲さんはすべてが『ガンダム』から始まったんだから。そこがすごいですよ。やっぱり純粋だったんですよ。

出雲 でも高校生の純朴な時期はみんな、国連とか地球連邦軍しか興味ないですよ。

星野 私なんか純朴じゃないですから。

出雲 で、天邪鬼な少年は、国連とか地球連邦軍じゃなくて、何やっていたんですか?

星野 とんでもないことというか、将来のことを考えているわけじゃないんだけど、目先のあれですよね。学校、先生らをいかにだまそうかとか。

出雲 え、私が国連を考えていたときに、地球連邦のことを考えていたときに、星野さんは学校の先生を騙すことを…。

「全く正反対の思いで学生時代を送っていた!」と星野氏。ユーモアを交え二人の天才たちの相反する学生時代を振り返る様子。

「全く正反対の思いで学生時代を送っていた!」と星野氏。ユーモアを交え二人の天才たちの相反する学生時代を振り返る様子。


星野 『ガンダム』見て、俺は国連に行って世界を救うんだみたいな、そんな純朴な人、いないよな。

せきね 本当に!どちらかというと出雲さんの方が稀な存在かも。だからバングラデシュも国連も、ミドリムシとの出会いも、すべては出雲さんの‘運命’だという話を先ほどしたんです。持って生まれた運命。

星野 けど、純朴な人ってあるパーセンテージでいると思うんですよ。突然変異の一つだから。あるパーセンテージでいると思うんだけど、その人がその純朴さを持ち続けてる。今何歳ですか?

出雲 41歳です。

星野 41歳まで維持している方が珍しい。そこだと思いますね。だいたい普通になっていくけど、夢を持ち続けて、こうやっていくというのが凄いと思いますね。

<中編に続く>


記事提供:星野リゾート

SHARE

次の記事を読み込んでいます。