「RZ」。エンジンを冷やす必要がないので、開口部がなく塊のようなスピンドルグリルに。ツートーンカラーも写真のようにボンネットにまで施される。
▶︎この記事の画像ギャラリーを見る 昨年末の豊田社長の宣言通り、トヨタが本気で動き出した。
先日発表されたトヨタブランドの新型BEV(バッテリーEV=電気自動車)「
bZ4X」に続き、早くもレクサスブランドから新型BEVである「RZ」の詳細が発表された。
2030年までに、つまりあと8年足らずで30車種のBEVを展開するという豊田社長の決意は、着々と実行され始めている。
昨年末の宣言では、同時に「レクサスは2035年までにBEV専業ブランドになる」ことも添えられていた。
レクサスには既にBEVの「UX300e」があるが、あちらは「UX」のBEVバージョン。実質同ブランドのBEV専用モデル第一弾がこのRZということになる。
リアランプは横一文字タイプ。中央に「LEXUS」の文字が入る。
先行するbZ4Xとプラットフォーム(e-TNGA)やパワートレイン(eアクセル)は同じだが、随所にレクサス味がまぶされている。
ボディサイズはRZのほうが少し大きく(全長はRZが4805mm、bZ4Xが4690mm)、最大航続可能距離はbZ4Xのほうが長い(RZが約450km、bZ4Xが559km)。
2WDと4WDのあるbZ4Xと違い、RZは4WDのみとなるようだ。この4WDシステムの「ダイレクト4」がレクサス味を引き出す重要な要素となる。
BEVでも最高のドライブフィールを
フロントよりリアのほうが太い、前後異形タイヤが採用されている。
メルセデス・ベンツやBMWといった欧州のプレミアムブランドに挑むレクサスは、近年特にそのドライビングフィールに対する評価が高いのだが、BEVでもレクサスらしい走りを楽しめるようにと、4輪制御の味付けにとことんこだわった。
車輪速等、各種センサーからの情報をもとに前後輪の駆動力配分を100:0〜0:100の間で制御。
まあこれくらいなら現在のエンジン車にもなくはないが、RZはさらに発進時や加速時には、車両を前後に揺らさず、加速感も損なわないように、前60:後40〜前40:後60程度で制御する。
写真の異形ステアリングと、円形ステアリングが用意されている。
同様にコーナリング時には、ステアリングの切り始めはフロント寄り、コーナー脱出時はリア寄りに駆動力を配分することで気持ちの良い旋回フィーリングを演出。
こんな風にドライビングフィールを高めるために、ハイテクを使って人間の感覚に沿う4輪制御術を披露するのがダイレクト4だ。
前席と後席上部に設けられたパノラマルーフ。シェードの代わりにガラスの調光機能で遮熱・断熱する。
さらにレクサスブランドらしい高い静粛性を備えた上で、加速度に応じた自然なモーター音も、音色や音響にこだわってチューニングされている。
音でも車と人が対話するドライビングフィールを実現しようということらしい。
シフトはレバーではなく、レクサス初となるダイヤル式。
もちろんレクサスクオリティのインテリアや、最先端の先進安全運転支援機能を装備。bZ4Xで提案された、飛行機の操縦桿のようなハンドルもRZに用意された。
シフトレバーの代わりにダイヤルが備わるのも同じだ。さらに駐車や出庫をスマートフォンの操作で行える機能も用意されている。
ドアの内側に投影される、世界初の陰影イルミネーション。
既にbZ4Xは5月12日からの発売で、リースまたはサブスクのみとなることが発表されている。一方でRZは今のところ発売時期や価格は未定だが、果たして一般販売は行われるのか。
手足のようなドライビングフィールに拘ったRZ。「運転には一家言あるよ」っていうドライブ好きは、このBEVの登場を心して待とう。