『Daido hysteric no.4: Remastered Edition』1万6500円(森山大道/Gallery COMMON & Akio Nagasawa Publishing ) Courtesy of Gallery COMMON.
日本を代表する写真家のひとりであり、世界に熱烈なファンがいる森山大道。今から約30年前に「ヒステリックグラマー」から発売された、森山による写真集『Daido hysteric no.4』のリマスター版が、この度発売されることとなった。
巷では、このニュースを聞きつけた“大人たち”が早くもザワめき立っているという。
それもそのはず、彼が長年モチーフとしてきた“東京の街角”という点に着目するオーシャンズ世代のファンも少なくないからだ。
自身の個展にて作品の前で佇む森山。1938年生まれ。ハイコントラストや粗粒子画面の作風で、急速に工業化が進んだ戦後の日本を撮影し、写真界に衝撃を与えた。
森山といえば、フィルムの時代から一般的なコンパクトカメラを愛用。現在はデジタルカメラも持ち歩いているが、撮影機材にこだわらないというアマチュアリズムを肯定する姿勢でもユニークな存在だ。
そう、森山は今風に言うストリートスナップの第一人者であり、写真における既存の価値観を問い続けてきた作家でもある。
『Daido hysteric no.4: Remastered Edition』からのシルクスクリーンの作品。Daido Moriyama, Untitled. 2012. Silkscreen on canvas. 110 x 165 cm. Edition 1 of 3. ©Daido Moriyama Photo Foundation.
そんな森山の作品に惹かれた著名人も多い。ヒステリックグラマーのディレクターであり、『Daido hysteric no.4』をはじめ「ヒステリック フォトブックシリーズ」を刊行した北村信彦もそのひとり。
DCブランド全盛期の1984年にブランドを始めた北村のインスピレーションとなったのはロックミュージックであり、そこから派生したサブカルチャーだった。
当時のDCブランドがデザイナーの個性に頼っていたのに対して、北村はファッションの外にあったサブカルチャーに自身の世界観を求めた。
今でこそ珍しい手法ではないが、それがストリートファッションの先駆けになったことは間違いない。
『Daido hysteric no.4: Remastered Edition』内の見開きページ。Courtesy of Gallery COMMON.
北村と森山、ストリートの眼差しを持った両者による立場もジャンルも超えたコラボレーションで生まれたのが『Daido hysteric no.4』だったってワケだ。
1993年に300部限定で発売され、後に海外まで広く話題となり、入手困難となった幻の写真集──、そんな『Daido hysteric no.4』のリマスター版のお目見えとあらば、長年待ち望んでいたファンたちが騒がしくなるのも無理はない。
さらにうれしいことに、本作の写真群が、原宿の「ギャラリー コモン(Gallery COMMON)」にて4月29日(
金)〜5月22日(日)の間、展示される。しかも、森山による同時代の未公開写真も並ぶというから、これは見逃せない。
また、「ヒステリックグラマー渋谷店」では上記展示会と連動し、森山×ヒステリックグラマーのコラボによる布プリントの展示も、4月28日(木)〜5月22日(日)の期間にて行われる。
4月末から約1カ月の間、渋谷・原宿界隈はカルチャーなムードに包まれることだろう。
北村はもちろん、サンローランのクリエイティブディレクター、アンソニー・ヴァカレロも惚れ込んだ森山の作品からは、時代を超えて訴えかけてくるものがあるはずだ。
ストリートを通過したファッション好きの諸兄ならば、一度は目にしておくべきである。
[展示会詳細]
森山大道「DAIDO HYSTERIC」
期間:4月29日(金)〜5月22日(日)※月・火は休廊
場所:ギャラリー コモン(Gallery COMMON)
住所:東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
電話:03-6427-3827
時間:12:00〜19:00