モンベル創業者・代表辰野勇氏(写真提供=モンベル)
当記事は「Forbes JAPAN」の提供記事です。元記事はこちら。 アウトドアブームを牽引する日本ブランド「mont-bell(モンベル)」。圧倒的なコストパフォーマンス、イベント、会員制度など独自のブランドを構築してきた。
登山家としても知られる創業者・辰野勇氏に、ブランドの歩みと今後の展望を伺った。
良質な商品を低価格で提供
アウトドア愛好家がモンベルを選ぶ1つの理由として、良心的な価格設定が挙げられる。モンベルのモットーは、顧客に対して「いいものを、お安く、親切に」すること。
「価格の高い製品が良いのは当たり前。しかし、アウトドアをやられている全ての方が、高価な製品を購入できるとは限りません。例えば若い学生さんにも、気軽に手に取っていただけるブランドでありたい。創業当初はいわゆるメーカーとして、問屋と小売店を通した流通経路だった。しかし製造直売にすることで中間マージンをできるだけ抑え、低価格で製品を提供できるよう工夫しました」
辰野氏はそう語る。もちろん、単に安い製品を作るのではなく、高品質のものを出来る限り、リーズナブルにお届けすることは企業努力があってこそのことだ。結果、コストパフォーマンスの良いブランドとしてユーザーに選ばれてきた。
創業者自ら、登山ツアーを開催
年会費が1500円ながら、会員数100万人を達成したモンベルのポイントカード「モンベルクラブ」。
多くの人を惹きつける理由は、購入時のポイント付与だけではない。オリジナルカタログや会報誌「OUTWARD」の送付、全国の提携施設での優待サービス、会員限定イベントの開催、独自の基金制度への還元など豊富な内容だ。
(写真提供=モンベル)
また「モンベル・アウトドア・チャレンジ」では、登山家である辰野氏が登山ツアーのガイドも務めることも。「山歩きやカヌーを楽しみます。私にとっては、お客さんと一緒に遊ばせていただいている、という感覚」。
自然を前に、創業者も社員も、顧客と同じアウトドア愛好家として繋がる。顧客と直に繋がるこの機会をモンベルは重要視している。
会社に根付く3Rの概念
あるモンベルユーザーは、焼き焦げたテントを店舗に持って行ったところ、数千円で修理してもらい感激したと言う。
モンベルでは、ウエアやバッグの生地破れ修理、フットウエアのソール張り替え、テントのポール交換など、あらゆるモンベル製品の修理サービスを用意。創業当初より、Repair(リペア)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の3Rが文化として根付いている。モンベル商品を店舗に持ち込めば、安価で即座に修理が可能。
「顧客満足を追求するなら当然のサービスです。そして満足していただくことが、次のビジネスに繋がるんです」
サステナブル・SDGsといったキーワードが浸透するずっと以前から実施してきた。
「地球の資源は限られている。その中で、何万個もの自社商品が最終的にどうなるのか、製造者として考えていく必要があります。修理やリサイクルなど、我々のフォローアップできることはやっていきたい。それは日本の“もったいない”という文化・道徳心があるのかもしれません」
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