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いくら愛用しているブランドとはいえ、ポイントカードの年会費が有料と聞いたら身構える人も多いのではないだろうか。しかし、アウトドア大手のモンベルのポイントカードは年会費が1500円ながら、会員数100万人を達成したという。なぜモンベルの会員制度は多くの人を惹きつけるのか。理由を探った。
1500円はどうやって回収できるか? 回収後も──
1975年に創業者辰野勇が創業し、以来アウトドア用品の進化の歴史を牽引してきたモンベル。「Function is Beauty(機能美)」と「Light & Fast(軽量と迅速)」をテーマに開発された商品は長年多くのアウトドアファンに愛され続けてきた。
そんなモンベルがアウトドア愛好家のために役立ちたいと発足したのが独自の会員制度「モンベルクラブ」だ。発足以来成長を続け、今年2021年4月、ついに登録者数が100万人を超えた。
モンベルクラブの魅力はそのさまざまな特典だ。入会すればポイントカードの付与、オリジナルカタログや会報誌「OUTWARD」の送付、提携施設での優待などが受けられる。また入会・継続特典で500ポイントが進呈されるほか、初年度は購入ごとにポイントが5%加算される。
つまり初年度であっても2万円分買い物をすれば、入会特典と購入時のポイントを合わせて1500ポイントとなり、入会金の1500円分を回収できることになる。その後継続年数や累計買い物金額に応じて加算率はアップし、20年以上継続または累計買い物金額100万円(税込)以上で9%にも達する。
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顧客の囲い込みが目的ではない
モンベルクラブの発足は1985年、モンベル創業11年目のことだ。そのころモンベルは通信販売によるBtoCビジネスの取り組みを開始し、消費者へのダイレクトなアプローチを探っていた。1500円という年会費は発足時から変わっていない。
もちろん、単なる顧客の囲い込みを狙うなら年会費を無料にする選択肢もあるだろう。しかし、モンベルの意図は違った。単なる営業目的の会員獲得ではなく、自然を愛するモンベルファンと企業の理念や価値観を分かち合うというのがモンベルクラブの第一の目的だった。
会員一人ひとりにモンベルの思いを伝えるには、会報誌の制作と発送などの費用がかかる。その費用をまかない、会員制度をサステナブルなものにしていくには、年会費がどうしても必要になると考える。
会員限定の会報誌「OUTWARD」には、モンベルが支援する「冒険」や被災地支援に代表される「社会活動」など、オリジナルカタログでは紹介しきれない企業の多面的な活動を会員に届ける目的がある。コンテンツとしては、創業者の対談記事、アウトドアの達人による連載、素材や機能性など商品の詳細、イベントや新商品の告知、支援活動の報告など多岐にわたる。読み物として楽しめることはもちろん、会員がよりモンベルの理念を深く理解できるようにと工夫して編集されている。
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