暑くなるこれからの季節、電車やオフィスで他人のニオイを不快に思う機会も増えてくる。同時に「もしや自分も臭っているのでは?」「そろそろ加齢臭では?」と不安になっているのではないだろうか。
「体臭は体の内側の変化が表れていて、年齢とともに変化します。そして慢性的に嗅いでいる体臭は、なかなか自分では気づきにくいものです」と語る桐村里紗医師に話を聞いた。
話を聞いたのはこの人! 桐村里紗●内科医、tenrai株式会社代表取締役。分子栄養療法や腸内フローラなどをもとにした予防医療、生活習慣病など幅広い診療経験を積み、テレビなどのメディア出演も。『日本人はなぜ臭いと言われるのか 〜口臭と体臭の科学〜』(光文社新書)など著書も多数。
加齢臭は30〜40代がもっともクサイ!
――最近、自分が加齢臭じゃないかと気になっているのですが。なぜ年をとると臭うのでしょう? 加齢によってニオイは変化しますが、20代から起こる早期加齢臭のように、若い方でも体臭はします。ニオイは年代によって以下のように変わっていきます。
■20〜30代 汗臭
こちらは汗のニオイです。といっても、普段からスポーツをしている人は、汗の成分の99%は水なので、臭くありません。
一方、運動をせず、普段汗をあまりかかない人の汗は、ミネラルなどの栄養分を含んでいるため、ベタベタしています。蒸発しづらく、皮膚の常在菌が増えやすいので、ニオイを発生します。運動やサウナなどで、普段から汗をかく習慣をつけるようにしましょう。
■20〜30代 早期加齢臭
皮脂が酸化してできるペラルゴン酸によるもので、劣化した油のようなニオイがします。油や糖質の摂りすぎ、肥満、中性脂肪やコレステロール値が高い人は若くても要注意です。
■40代 ミドル脂臭
汗の中の乳酸を常在菌が代謝してできるジアセチルという物質と、中鎖脂肪酸が合体することで発生するニオイです。後頭部を中心に発するため、枕臭とも呼ばれていて、早期加齢臭と同様、劣化した油のニオイがします。
中性脂肪が多い人や、皮脂の分泌が過剰になると発生しやすいニオイで、こちらも油や糖質の摂りすぎ、運動不足などの生活習慣により発生しやすくなります。
■50代 加齢臭
主に体幹部から発生するニオイで、皮脂由来のノネナールという物質によるニオイです。加齢臭は臭いと思われがちですが、古本や枯れ草と表現されるようなひなびたニオイが特徴で、実は加齢臭のニオイが嫌いという女性は少ないという報告もあります。
――なるほど、40代までのほうが臭いんですね。どうしたら臭わなくなりますか? まず、
油や糖質の多い食事を避けること、過度な飲酒も臭いの原因になります。また
抗酸化作用のある食材や、油の酸化を抑えるビタミンEを含む、
ナッツやアボカド、米油の摂取もおすすめです。
野菜や果物などに含まれるファイトケミカルやポリフェノール、腸内環境もニオイに関わるので、食物繊維や乳酸菌なども意識して摂りたいですね。
また、汗臭に限らず、
有酸素運動やサウナなどで、日常的に汗をかくことも大切です。先ほど運動している人の汗は臭いにくいと言いましたが、衣服についた垢や皮脂と反応するとニオイが発生するので、
速乾性のあるインナーを取り入れるのもいいでしょう。
――生活習慣を改善したら、臭わなくなるんですか? はい。個人差があるため一概には言えませんが、一般的に3カ月ほど続けると血糖値や中性脂肪は改善されますから、3カ月しっかりと継続すると、ニオイも変化してくるはずです。
早い人なら1カ月でも効果が出てくると思いますよ。
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