【3足目】ビスポークのシュプリームダンクレプリカ
ビスポークでつくったオリジナルデザイン。はて、どこかで見たような?
「何百足もあるコレクションの中には市場価値の高いレアなシューズもありますが、このシューズは世界に1足だけ。自分にとって特別な価値をもっています」。
そう切り出すTAKEIさんが最後に取り出したのは、自身のSNSのアイコンとしても使っているシューズ。果たしてその正体は?
「いまでいう『NIKE BY YOU』の上位互換みたいなかたちで、注文で仕立てるビスポークのサービスがニューヨークやロンドン、上海などで行われていたんですが、2010年頃は日本にも出張で来ていたんです。
ナイキのデザイナーと90分間のセッションを行うそのビスポークでは、色や素材、パーツを一つひとつ決めることができます。希望があれば刺繍を入れたり、文字の色を変えたりすることも可能です。
1足10万円と高額でしたが、4足くらいオーダーしました。これはそのときにつくったうちの一足です」。
スウッシュのレザーやライニングは高品質な素材をセレクト。
少し詳しい人なら、このシューズを見てピンとくるだろう。ベースとなっているのは、2002年にシュプリームとナイキがコラボしたダンクのデザインだ。
「ダンクとエア フォース 1はボリューム感やシルエットの違いはあるものの、つくられた時代が近いのでデザインもある程度統一感があります。つまりダンクでカッコよければ、同じ色やデザインをエアフォースに乗せ替えても絶対にカッコいい。
シュプリームダンクも持ってるんですけど、あえてエア フォースでそれが欲しいと思ってオーダーしました」。
個性的なエレファント柄は存在感大。
実は、このビスポークサービスではすでにオーダーされた内容とまったく同じデザインで新たな一足をつくることはできない。
「だからシュプリームダンクのデザインを丸パクリできたのは私だけ(笑)。本当に世界に一足だけなんですよね。
あと、このエレファント柄はもともとエア ジョーダン 3で使われたものなんですが、いまはジョーダンブランドがナイキから独立してしまったため、商標権をもたないナイキは同じ柄が使えません。
もしまたビスポークサービスが復活しても、このエレファント柄はもう選べない。なおさら手放したくないというわけです」。
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過去には、自身のコレクション約50足を展示したイベントで「全部まとめて500万で売って欲しい」と声をかけられたこともあるというTAKEIさん。
「惚れ込んだモデルは、墓場までもっていくつもりです」。
さらりと放った一言は力強く、傑出したコレクター魂を感じさせた。