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刊行以来全米で話題となり、翻訳が待望されていたナイキ創業者の自伝『SHOE DOG(シュードッグ)』日本語版が、10月27日(金)、ついに発売される。そこに描かれているのは、知られざる日本とナイキとの深い関係と、熱狂して人生を生きることのすばらしさだ。
本書をいち早く読み終えた塩野誠氏に、その感想とインパクトを寄稿してもらった。
「ずっと考えていた。日本に行き、靴会社を見つけて、私のばかげたアイデアを売り込もうと」
1962年、米国オレゴン州にそう思案するひとりの若者がいた。あなたもきっと知っているブランド、ナイキの創業者フィル・ナイトである。本書『シュードッグ』は、世界的なスポーツウェアメーカーであり、著名ブランドとして名高いナイキの創業者本人による、創業から上場に至るまでの壮大な物語である。
ナイキブランドはいかに生まれたのか?
大学を卒業して実家に戻ったナイトは、オレゴンを出て世界を旅してみたい、日本に行ってみたいと父親に願い出る。それを聞いたナイトの祖母は「ほんの数年前まで日本人は私たちを殺そうとしていたのよ。覚えていないの? 真珠湾攻撃を」と声を張り上げる。若きナイトはペーパーバックの『ライ麦畑でつかまえて』と『裸のランチ』をリュックに詰め込み、日本を目指す。
言うまでもなくナイキは日本人にもなじみの深いスポーツブランドだ。そのロゴマークである「スウッシュ」はプロからアマチュアまで、あらゆるアスリートたちのウエアやシューズを飾っている。もちろん本書では、ナイキというブランド名やロゴマーク誕生秘話も明らかとなる。「スウッシュ」を考案したデザイナー、キャロライン・デビッドソンにいくらの謝礼が支払われたかも、である。
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