グレカーレは、スーパースポーツカーMC20に次ぐ“次世代マセラティデザイン”の第2弾としている。
レースに対する熱い情熱と、イタリアのセレブたちを魅了するエレガントさを兼ね備える希有なブランド、マセラティ。
つい先日、日本でもスーパースポーツカーの「MC20」のデリバリーが始まったが、同じ情熱とエレガンスを備えたはSUV「グレカーレ」が発表された。
マセラティのSUV第1弾であるレヴァンテより小さく、全長4859×全幅1979×全高1659mm(GTの欧州測定値)。日本車でいえばレクサス・RXくらいのサイズ感だ。
写真の「グレカーレ トロフィオ」に採用されたボディカラーは、イエローに少しブルーマイカが混ざっているという「Giallo Corse」。
名前のグレカーレとは、イタリア語で「地中海に吹く北東の風」のこと。
兄貴分の「レヴァンテ(地中海西部の東風)」や「ギブリ(北アフリカの風)」、さらには往年の名車「ミストラル(フランス南東部を吹く風)」などをリリースしている同社らしい、由緒ある名前だ。
風のように疾走するために、グレカーレには3種類のパワートレインが用意され、それに応じてモデル名が与えられている。まず300馬力マイルドハイブリッドの「GTバージョン」、330馬力マイルドハイブリッドの「モデナ」、530馬力エンジンを搭載した「トロフィオ」。
トロフィオは0-100km/h加速が3.8秒と、マセラティらしいスポーツSUVだ。もちろん、その他のモデルも300馬力以上だから十分スポーティだが。
さらに1年後には電気自動車の「ファルゴーレ」の登場もアナウンスされている。
外装も内装も、すべてが“格別”
モデナに採用されたカラー「Grigio Cangiante」は、角度や位置によって色が変わって見える。
マセラティらしい美しいラインを描くボディは、イタリアの職人技が光るボディカラーで覆われている。例えばモデナに用意された「Grigio Cangiante」は“多様な色に変化するグレー”と訳された。
夏の光の爽やかさと安らぎからインスピーレーションされたというこの不思議な色は、3層構造のカラーによって表現されている。
シーンを問わず疾走するために、4つのドライブモード(コンフォート、GT、スポーツ、オフロード)が、さらにトロフィオにはサーキットも視野に入れたコルサ(=疾走や競争の意味)モードも用意されている。
周囲の状況や気分によって、あるときはしなやかに、あるいは掌を汗を握りながらなど、さまざまな“疾走”を味わえる。
GTバージョンには写真のチョコレート色など、用意されているインテリアカラーもモデルによって異なる。
もちろん、風のように軽やかに、街や郊外を流すためにも優雅なエクステリアデザインや、上質なインテリア空間は欠かせない。
ドアを開ければ、丁寧な仕事がされた本革のステッチなどクラシカルな雰囲気とともに、先進的な機能が見事に調和していることに気づくだろう。
なにしろ、ステアリング奥とセンターコンソールにはディスプレイしかなく、すべてのスイッチはタッチ式になっている。
トライデント(三つ又の槍)が型押しされ、ダブルステッチが施されたシート。
クラシックとモダンの融合は、マセラティ伝統のインストゥルメントパネル中央に配置された“時計”に、もっとも具現化されているかもしれない。
デジタル式でありながら表示はアナログ式。さらに話しかけると車載コンシェルジュにも早変わりするという。
車内でオペラを聴いてもグレカーレなら十分楽しめそうだ。最大21ものスピーカーで構成される3Dサウンドシステムによって、360度音で包み込まれる至福が用意されている。
しかも、名調律師が整えたマセラティならではのエンジン咆哮音まで楽しめる。
時計をこの位置に配置するのはマセラティの伝統だが、デジタル式は初。
「The Everyday Exceptional(毎日が格別)」をコンセプトに開発されたこのグレカーレ。
日本での車両本体価格は800万円台後半〜が予定されていて、6月上旬からオーダーを受け付けるとしている。
ときにはラグジュアリーカーに、ときにはスポーツカーに、そしてときにはアウトドアカーになってくれるグレカーレ。確かに毎日が格別になるようなSUVだ。