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考えようによっては、本来我慢しなければいけないジャンクフードを食べてしまうということは、脳が十分なリフレッシュを取れていないことでもあります。

休息を促すサインでもあるわけですから、ジャンクなものを食べたくなったら、仮眠など身体を休ませることを意識したほうがいいと言えるでしょう。

実際に、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のモティヴァラらの研究では、睡眠負債を抱えていると、不健康な食事を欲するようになるということを明らかにしています。

睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌を促し、食欲を増進させる働きを持つグレリンという物質と食欲の抑制に関わるレプチンという物質のバランスが崩れます。そのため、体に悪いものを食べたくなる衝動に駆られるというのです。

不健康な食事は、かつては貴重な脂質と糖という栄養分が豊富なものばかり。睡眠不足という体の危機に、てっとり早く脂質や糖などの栄養を体に摂り込めるので、欲求が向かいやすいというわけです。

なかなか睡眠を確保できないという方には、「ガムを噛む」ことでブレーキをかけることをおすすめします。カロリーたっぷりのハンバーガーでも、脂が滴り落ちるチキンでも、糖分たっぷりのお菓子でも、これらを食べたい気持ちの根源は食欲です。

空腹ではないけれど、脳が糖分を求めているといったシチュエーションもあるかもしれませんが、基本的には食欲そのものを抑制することで、ある程度、不健康な食べ物を我慢できるようになります。

ルイジアナ州立大学のガイゼルマンらによる研究では、3時間に1回15分間ガムを噛むことで食欲を抑えることができるという結果があります。空腹を紛らわせるうえに集中力を上げる効果もあります。そして、すでに口のなかにガムが入っていれば、さらに食べようとする気持ちになりにくいとも。

食事内容をスマホで記録してみよう

また、興味深い研究として、レバノンアメリカン大学のドーミットらによる、「食事をスマホで撮影して記録すること」の有意性が挙げられます。

この研究では、3日間毎食写真を撮ってアプリにアップして記録することで、肉より野菜を食べる量が増えたという結果が報告されています。

文字で記録する普通のレコーディングダイエットよりも、わずかながら、摂取カロリーが低いという傾向も見られたといいますから、ジャンクフードを記録することで自らに抑制を働かせる効果も期待できそうです。

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最後に、「それでも食べてしまった……」と後悔を抱く方にアドバイスを。もし食べるのであれば、何かしら理由(疲れているから仕方がないんだetc)を付けてジャンクフードを食べるのではなく、いっそのこと、「私は好きで食べているんだ」と割り切った方がいいということ。

自己決定は、自らの幸福度を上げる効果がありますから、「この選択は自分を満足させるために好きで食べているんだ」と考えることで、幸福度も高まり、脳も安心感を覚えます。

罪悪感にさいなまれながら食べると、ますます脳がストレスを抱え、どんどん抑制のたがが外れてしまい、さらにジャンクな食べ物を求めるなんて可能性も……。食べたいときは、せめて自己決定感を持って袋を開けるようにしてください。



堀田 秀吾:明治大学教授
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記事提供:東洋経済ONLINE

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