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コロナ禍で、オーガニック食品や健康食品の売り上げが急増し、同時にクッキーや塩分の多いスナック菓子の売り上げも急増しているそうです。

一方で、アイオワ大学のガローニらは、「不安や嫌悪感に直面すると、人は慣れ親しんだ選択肢に目を向ける傾向がある」と公表しています。

原因は「脳の機能低下」にあった

コロナ禍という非常時だからこそ、かつての日常生活を取り戻そうと、人は日頃やっていた行動をなぞろうとする――。

つまり、ジャンクフードの量を減らしたいと思っていたとしても、いつもジャンクフードを食べていた人は変わらずにジャンクフードを買い求めてしまう、と。なかなか手を止めることができないのには、やはり理由があるのです。

「自分は疲れているからジャンクフードを食べたくなっているんだろう。体が欲しているのだから食べてしまうのは仕方のないことだし、悪いことではない」と考えている人も少なからずいると思います。

しかし、実はそうではありません。疲れたから体が欲して食べたくなっているのではなく、疲れているから歯止めが効かなくなってジャンクフードに手が伸びてしまう……、普段は身体に悪いからやめておこう、我慢しようと思っている抑制のフタが外れてしまった結果、ポテトチップスの袋を開けてしまうのです。

「(左の背外側にある)前頭前皮質の機能を一時的に低下させると、カロリーが高い食べ物を欲するようになるだけでなく、実食においてもジャンクフードを食べる傾向が高くなる」とは、カナダのウォータールー大学のロウらの研究です。

前頭葉は注意力、集中力、判断力などと関係し、感情や欲求を抑制する脳の大切な部位です。そのため前頭葉の機能が低下すると、普段は悪いからやめよう、我慢しようと思っていることについての判断が鈍くなり、我慢ができなくなってしまいます。また、背外側前頭前皮質の機能低下は、ストレスが原因で引き起こされることもわかっています。

つまり、ストレスが蓄積して、脳の背外側前頭前皮質の機能低下が生じると、それに応じて判断が鈍ってしまうというわけです。

この研究は、ジャンクフードを食べたいという気持ちになってしまう原因は、脳の機能低下にあるということを明らかにしています(悲しいかな)。

たしかに、ジャンクフードは美味しいです。だからこそ、脳にその美味しさが刷り込まれていて、脳が十分に休めていないからこそ“止まらない”のです


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