ドレスシューズの中でも最もエレガントな型といわれる内羽根のストレートチップ。確かに黒に比べるとカジュアルな印象が強まるネイビーだが……はたしてその汎用性はいかに?19万5800円/ジョン ロブ(ジョン ロブ ジャパン 03-6267-6010)
「想像に難くないですが、ネイビーの靴にネイビーのスーツはとても相性がいい。ただし、ネイビー以外のスーツの場合、合わせやすさだけでいえば、当然黒や茶に軍配が上がるでしょう。
ただガチガチのスーツではなくカジュアルなスタイルに合わせるなら、ネイビーシューズは結構楽しい靴。ハマったときはコーディネイト全体に華やかな印象が漂います」。
そう教えてくれたのは、スーツのスタイリングにも長いキャリアを持つスタイリストの武内雅英さん。
確かに革靴=スーツの固定観念から解放されれば、ネイビーシューズは汎用性の高い靴として捉えることができそうだ。
「合わせの注意点はひとつだけ。ネイビーシューズの足元だけが、浮いて見えないようにすることです」。
確かに経験上、ネイビーシューズがうまくハマらないと感じる服はある。例えばグレーのウールパンツに合わせると、妙に靴が目立ってしまうのだ。
注意するのはわかるが、具体的にどうコーディネイトすればいいのだろう?
「ネイビーシューズのコーディネイトには“青を入れる”のがコツなんです。タイドアップのスタイルならニットタイにネイビーを使う。濃いインディゴブルーのデニムをはく。
ソックスも白ではなく、ネイビーやミックス調のブルーをチョイスする。積極的に青のアイテムを合わせていくと、ネイビーシューズがしっくり馴染んでくれますよ」。
なるほど青をもって青を制すというわけか。いずれもネイビーシューズが馴染むコーディネイトに仕上がっていると思う。
「ベージュのセットアップはカジュアルの濃度が低く、逆にスイングトップのコーディネイトはカジュアルの濃度が高い。いずれも服に青を入れることで、ネイビーシューズが映えるコーディネイトの幅がぐっと広がります」。
そもそもブルー系統の服は、我々のワードローブのなかでも結構な分量を占めていると思う。今ある青い服を積極的に活用して、ネイビーシューズを使った装いの扉を開いてみてほしい。
手入れ次第で色が変わる?ネイビーシューズのメンテナンス術 [上]ディープブルーのクリーム4400円、[中]ニュートラルのクリーム4400円、[下]ディープブルーのワックス2530円/すべてジョン ロブ(ジョン ロブ ジャパン 03-6267-6010)
基本の作業は黒や茶の革靴と同様。履いたらブラッシングして埃を落とし、ときどきクリームで革に栄養を入れ、色が抜けたらワックスで補色するという要領だ。
「ジョンロブの靴にはぜひ正規のクリームやワックスを使ってほしいです。ワックスは必ずディープブルーをご使用ください。クリームに関してはディープブルーが基本ですがニュートラルを使う方もいらっしゃいます。
どちらの色のクリームを使うかで、長く履いたときの色合いは違ってきます。その人なりのネイビーに育つところが面白いですよ」(ジョンロブ丸の内店店長/寺尾正美さん)。
なるほどネイビーシューズはある意味で、ブルーデニムのようなものなのかもしれない。ただデニムは色が褪せ、シューズは深みを増すというのが真逆だが。いずれにしてもワックスやクリームを使った手入れのあとはしっかりと乾拭きを。
青はどこまでも魅力的な色だが、パンツの裾が青く染まるのはいただけないから。