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レース志向の仲間たちとの出合いからバイク熱が再燃



30歳目前で結婚し、今の仕事を始めた頃、住まいからほど近い「RS-ITOH」というバイクショップに顔を出すようになる。

「ここは全日本ロードレースや8耐などの有名レースにも参戦しているショップでした。この出合いを機に、かつてバイクで盛り上がっていたときのことが一気に思い出されて、バイク熱が再燃したんです」。



そこで森谷さんが手に入れたのが、バイクに乗り始めた頃からの憧れだったヤマハ・FZ750だ。

「1986年3月のデイトナ200マイルというレースで、あのエディ・ローソンが乗って優勝したFZ750ベースのマシンの記憶が頭から離れなかったんです」。

エディ・ローソンとは、1980年代を駆け抜けたアメリカ人トップロードレーサー。滅多にミスをしない芸術的なライディングスタイルで、日本にも非常にファンが多かった存在だ。



当時の多くのバイクファンと同じように、ローソンに憧れた森谷さんの所有するのは40年近く前の1985年式FZ750。

「このバイクや、これ以前の古いバイクたちは、同じ系統のマシンからのパーツ移植が楽なマシンが多い。例えばこのFZ750なら、10年以上も新しいヤマハ・YZF1000Rなどのエンジンもそのまま載せることができる。古いとはいえ、今でも十分楽しめる一台なんですよ」。



’80年代に発売されたバイクは、「今の時代では、こんな高性能バイクをこの値段では作れないだろうな……」と思わせるほど、コスト度外視でレースで勝つことだけを目指して開発されていたがゆえに、ハイスペックなモデルが多いのだ。



FZ750もそんなバイクのひとつだからこそ、森谷さんも魅力に感じるのだろう。


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