憧れの“4耐”にも出場
前述のバイクショップ「RS-ITOH」に出入りするようになって以降、まわりのバイク仲間たちのレース熱の盛り上がりに比例して、鈴鹿4時間耐久ロードレース、通称4耐にも出てみたいと思うようになった森谷さん。
「私がバイク免許を取ったあの頃、一番盛り上がっていたのは8耐でしたが、あれはプロのレースなので、アマチュア最高峰と言われる4耐に出てみたくなったんです」。
4耐へ出るためにロードサーキットで腕を磨いていた頃。今まで経験のあったオフロードやスクーターのレースとは比較にならないほどのスピード感を味わった。
ただし、強豪ひしめく4耐に出て競うためにはロードレースの実績を積む必要があった。そこで、FZ750をレース用に改造し、草レースに参戦するようになる。
「15万円で買ったボロのFZだったんですが、レース仕様にするために、最終的には150万円ほどお金が掛かってしまいました(笑)。ただ、肝心の4耐は出場バイクの排気量が600cc以下と決められているので、結局FZ750の出番はなく……。ショップの用意した別のバイクで出場したんですけど、それでも最高の思い出になりましたよ」。
憧れだった“4耐”に出場。RS-ITOHロゴの入ったウェアを着るレースクイーンもいてかなり本格的!
免許取得とともに空前のバイクブームと言われた“あの頃”を経験した森谷さんの脳裏には、今もFZ750でローソンが疾走する姿が鮮明に映っている。そして念願だったレースにも参戦できた。
実はイチから組み上げたレース用250ccマシンも持っている。そのマシンを組み上げたのは、もう一つのなじみのショップ“G WORKS”。「今年はこの250ccで何度かレースに出ようか……」と、まだレース熱は冷めていない。
「もうこのバイクでレースをすることはないので、公道走行可能な仕様に戻しました。今は中型免許を持つ妻や娘とのツーリングマシンとして活躍しています。ほかに年式が新しくて排気量の大きなバイクも持っていますが、やっぱり乗って、いじって楽しいのはこのFZ750ですね!」。
若い頃の思い出とともに、40年近く前のバイクをいつまでも愛でる男の姿がここにあった。