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雪板と出会えたことで雪遊びの楽しさが広がった



かつては未来を嘱望されたスノーボードの競技者も、現在は「雪板の合間にスノーボードをする生活」を送る。そこで改めて両者の違いを聞いてみると「全然違いますよ」と言い、「特にスリルと浮遊感がまったく違うんです」と続けた。

スリルについては既に記したが、浮遊感については「スノーボードは雪板よりスピードが出るからだと思うんですが、スノーボードではより滑走感を、雪板ではより浮遊感を、それぞれ楽しみながら滑っています」と言った。

そして雪板と出会ったことで、雪山遊びの多様性にも気がついた。

「スノーボードだと物足りなく感じる場所も遊び場に見えるようになりました。おかげでハイシーズンでも雪質だけを求めず、地形の面白いところがあれば積極的に出かけています。雪板でリフトに乗れるスキー場も増えていますしね。

それにサーフィン的な浮遊感は雪板で得られるので、スノーボードにはよりスケートボード的に滑れるデザインが欲しくなり、自分で作り始めました」。

それは「プラナパンクス」というブランドで、短く、タイトに動けるパウダーボードをコンセプトとする。長野に多く見られる木々が密生する急斜面や森の中で新雪を味わうためのボードだが、そこまで振り切ったデザインを追求できるのも、雪板を存分に楽しめているからだといえる。

「確かに雪板に大きく影響を受けた生活を送っていますが、でも僕、もともとの雪上サーフィン用ボードは存在すら知らなかったんです。

’90年代以降の進化したスノーボードしか知りませんし、雪板もスノースケートにインスピレーションを受けて新しいモノだと思って作りましたから。でも知人のサーファーに言わせると、雪板こそ雪上サーフィンだよね、と。面白いですよね」。

五明さんはサーファーではない。それでも雪上サーフィン用の道具を無自覚に生み出した。それはどれだけ進化を果たしても、スノーボードには派生した源であるサーフィンのDNAが脈々と刻まれているから、なのかもしれない。

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原田 岳=写真 小山内 隆=編集・文

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