OCEANS

SHARE

2022.02.19

スーパーカブでバイクデビューした男が30年後に乗るスズキ・Vストローム

Motorcycle Update▶︎バイクのある人生は素敵だ。お気に入りの一台に跨って、家を出るワクワク感。時を忘れてカスタムに興じる悦び。バイクを楽しむ大人たちをピックアップ!

■鎌田賢太さん(51歳)


カマダケンタ。建設コンサルタント。大学生の次女と奥さま、そして愛猫3匹とともに埼玉県に住む。

オフロード歴が長く、ロードタイヤを履くスポーツアドベンチャーツアラー「スズキ・Vストローム650XT」でも少々のダートなら迷うことなく進む腕前を持つ。

「沖縄以外はすべて走破した」というバリバリのロングツーリングライダーである。

■スズキ・Vストローム650XT(2019年モデル)



スズキの人気ネイキッドバイク「SV650」の水冷4サイクル90度VツインDOHCエンジンを使い、スポーツアドベンチャーツアラーとして誕生したVストローム650XT。2003年に海外で先行発売され、欧州や北米で人気を博し、2013年に国内販売を開始。

排気量650ccと、各社が大排気量マシンをラインナップするこの市場では不利かと思いきや、走行風からライダーを守る大きなウインドスクリーンや、長いホイールベースからくる抜群の直進安定性などにより、リッタークラスのアドベンチャーツアラーにひけを取らない高い完成度を誇るツアラーとして知られる。

鎌田さんの愛車には、純正アンダー&サイドガードに加え、純正パニアケースなども購入時から付いていたそう。「このパニアケースは、マフラーとの干渉を避けるためにある“内側の凹み”がない箱なので、荷物を入れやすくて便利!」とお気に入りだ。

鎌田さんの愛車には、純正アンダー&サイドガードに加え、純正パニアケースなども購入時から付いていたそう。「このパニアケースは、マフラーとの干渉を避けるためにある“内側の凹み”がない箱なので、荷物を入れやすくて便利!」とお気に入りだ。


カブで始まり、オフロードバイクで覚えた楽しさ

「中型免許を取得したのは大学在学中の18歳のとき。初めて所有したバイクは、秋田の実家に住むじいちゃんの持っていたホンダ・スーパーカブ50です。

大学に入学後、休みを利用して実家に帰った折に、このカブ50を譲り受けて、東京のアパートまで乗って帰ることになりました」。



カブ50では当然、高速道路に乗ることはできない。鎌田さんはこのカブ50の前カゴにファミリー用の大きな寝袋を入れ、テントなどの荷物も積んで東京へトコトコ走り出したという。

国道をひたすら走ったが、なにせ50ccしかない実用車のカブ。しかも荷物は満載。当然のように国道では車の渋滞を引き起こしてドキドキ。お金もないので泊まる所は砂浜だった。



「結局2泊して我が家に到着。それまでツーリングなんてしたことなかったけど、これがとても楽しかったのを今でも覚えています」。

そんな鎌田さんが自身で初購入したバイクはカワサキ・KDX250SR。1989年に登場した名車「KDX200SR」の後を引き継ぐ形で登場したハイパワー2ストオフロードマシンだ。



「子供の頃にミニモトクロスレースの経験があったため、頭からつま先までオフロードのフル装備を身につけて大学のオートバイクラブに顔を出しました。

そんな格好で先輩オフローダーの前に現れたもんだから、早速近くの河原に連れて行ってくれて……。

少しは走れるだろうと思ったら、新車のKDXは転倒に次ぐ転倒でボコボコでしたね(笑)」。



先輩と遊ぶにつれて、愛車は“オフロードバイクの正しい姿”になっていったが、おかげで整備法もすっかり身に付き、キャンプツーリングなども経験するように。

KDX250SRにはかれこれ2年ほど乗り、その後ホンダ・XR250R(ナンバー付き逆輸入車)やヤマハ・TT250Rほか、数台のオフロードバイクに乗り換え、30代はあっという間に過ぎていった。



「40代になって、ヤマハのビッグスクーター、TMAXに乗りましたね。

スクーターなのに、スポーツタイプのバイクもカモれる戦闘力があって気に入ってたけど、あるとき『でもダート走行はできないよな……』って思ったんです。そこで、ヤマハのセロー250の30周年モデルを買い足したんです」。

TMAXとセロー250の2台体制に満足していたが、自宅の置き場所のスペースを考慮してTMAXは手放し、バイクはセロー250のみになる。



魅力は「体が張り詰める感覚」

「セローは当初『女性や小柄なライダーが乗るバイク』と思っていましたが、軽い車体で取り回しはいいし、オフロードもラクに走れる。排気量は250ccなので高速道路も走れるし、燃費もすごく良くて最高でしたね」。

2017年、四万十川下流にある無料の四万十川キャンプ場にて。夜は真っ暗だが市街地も程近くて便利。

2017年、四万十川下流にある無料の四万十川キャンプ場にて。夜は真っ暗だが市街地も程近くて便利。


セロー250では年に2〜3回、1週間程度の長いキャンプツーリングにも出かけるようになったが、オフロード走行も考慮したバイクなのでシートも薄く、風よけとなるウインドシールドもない。ゆえに、ハイスピードのロングツーリングにはあまり向かなかった。

「そんなこんなでセローを手放し、たどり着いたのが今の愛車、Vストローム650XTです。

購入したときに、最初から60万円分ほどの純正パーツが取り付けられていて、そのどれもが付けたい物ばかりだったこともあって即決でしたね」。

フェリーに乗って船内でバイクを降りた時、火起こしをする時、食事を作る時など、それぞれのシーンでモタモタしないように、その時に使う物を1つにまとめている。

フェリーに乗って船内でバイクを降りたとき、火起こしをするとき、食事を作るときなど、それぞれのシーンでモタモタしないように、使う物を1つにまとめている。


バイクをさんざん乗り継いだ鎌田さんの元にやってきたVストローム650XTだが、振動が少ないうえに走行風はほとんど当たらず、ロングツーリングでも疲れ知らず。

しかも積載能力も高くて、25〜30km/Lと燃費も悪くない。

この完成度の高い旅バイクによって、ロングツーリング熱はどんどんヒートアップしていく。

気になるバイクはBMW・R100GS。今や中古でしか買えない絶版バイクだが、旅バイクとしての高い完成度と、他とかぶらないクラシックでオシャレなルックスが魅力。

気になるバイクはBMW・R100GS。今や中古でしか買えない絶版バイクだが、旅バイクとしての高い完成度と、ほかとかぶらないクラシックなルックスが魅力。


「走ることは昔から大好きだったので、それまでの僕のロングツーリングは目的地に着いたら即、次の目的地へ……という超足早なスタイル。

Vストロームはそんなスタイルも軽く受け入れてくれるバイクです」。



一方で昨年、伊勢神宮で御朱印帳を購入したことをきっかけに、御朱印をいただきがてら目的地周辺ゆっくり散策するようになったとか。「こういうのも楽しいな……」と思い始め、ツーリングのスタイルも少しずつ変わってきたという。

「Vストロームで走り出すと、体の感覚が『パーン!』と張り詰めて、『年とってもまだまだオレはイケる!』って感じにさせてくれるのがまたいい。バイクの魅力ってそんなところにもあると思うんですよね」。



ライディングウェアに身を包んでいるとはいえ、バイクは車と比べれば生身に近い。ゆえに緊張感も強く感じるし、積極的に全身を動かして操縦しなければならない乗り物だ。

でも、それを“魅力”と感じているからこそ夢中になれるし、バイク乗りの多くが、年齢に関係なくイキイキしているのはそのせいだろう。

山中基嘉=写真 今坂純也(DIRT SKIP)=取材・文

SHARE

RANKING