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2022.02.19

ファッション

「デニム界のレクサス」はなぜ誕生したのか。最高のデニムから辿る“染め”の歴史

「世界最高峰! 日本デニムの今」とは……

10代の頃からさんざん足を通してきたデニムだ。当然、ある程度のことは分かっている……そうタカをくくってはいないだろうか。例えば、インディゴ染めと藍染めの違いなど、微妙だけど重要な違いに気付いている人は多くない。



日本のデニムブランドを代表する、レッドカード トーキョー。そのプロデューサーである本澤裕治さんに、おざなりにしがちな“染め”の歴史について聞いた。

「デニム業界のレクサス」と呼ばれる生地とは



これまで国内デニムの名門で企画、生産を担い、世界的デニムブランドのクリエイティブにも参画。デニムを知り尽くした本澤さんが満を持して自身初のブランド、レッドカード トーキョーをプロデュースしたのが2008年。今や日本を代表するデニムブランドへと成長を遂げた。

そんな本澤さんが「最高峰」と手放しに称賛するジャパンデニム。そのクオリティに疑いようはないが、海外とのアプローチや考え方の違いがそこにはあるという。



「日本のジーンズは洗うこと、要は加工することが前提に作られています」。

一体、どういうことか。

「アメリカのジーンズって、もともとは作業着じゃないですか。だから、製作の段階では洗わないし、購入当初はパリパリです。しかし、日本の場合は僕たちが『釜』といっている大きな洗濯機に入れて洗い、縫製糸はどうだ、金具はどうだ……と検証するわけです。そうしてあぶり出された問題点をひとつひとつクリアしていった結果、今のクオリティになったんだと思います」。
 
日本デニムの進化は、日本独自の古着市場も無関係ではない。ヴィンテージの風合いを追求していった結果、さまざまな加工法も生まれていく。

「その後、ストーンウォッシュ加工ができるわけですよね。エドウィンが最初と言われていますけど、要は石と一緒に洗濯機で洗うので生地、縫製糸、ボタン、リベット、ファスナー、すべてが石の圧力に耐えられなければいけない。そんなジーンズを日本は作ってきたんです。

だから、僕は全てをひっくるめて最高峰と言いたい。おそらく消費者の方は、生地だけが最高峰と思っちゃってるんじゃないかな~」。





では、デニム生地は何を持って“良い”とするか。本澤さんは「丈夫でありながら欠点も少ない点」だと定義し、そのいい例がカイハラデニムだと話す。

「カイハラの生地のどこが素晴らしいかというと、生地欠点がないところです。生地って、やっぱり織ったときに太い糸が出てきたり、糸が切れたり、ムラになっていたり、色が違ったりといろいろあるわけです。それが最終的に、大きな差になってくる。でも、カイハラさんの生地にはそれがほとんどありません」。

そんなカイハラデニムを、本澤さんたちは「デニム界のレクサス」と位置づけている。

「ロスが出ないからそれだけ品質も安定しますよね。昔の生地って天然はもちろん、合成インディゴでもやっぱり生地の色がそれぞれバラバラなんですよ。だから、生地が納品されたときにまず色分けしなきゃいけないけれど、カイハラデニムはそんなことを気にせず仕事ができます」。


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