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2022.02.11

時計

ロイヤル オーク50周年モデルの注目5選。発売前から「完売!?」という噂の真相

過去類を見ない高級時計ブームの最中、圧倒的な人気を集めているのが、“ラグジュアリースポーツ”と呼ばれるスポーツウォッチだ。

予想を上回るバリエーションが広がる、ロイヤル オーク2022年新作。

この度、予想を上回るバリエーションが発表されたロイヤル オークの2022年新作。


この道を切り拓いたパイオニアがオーデマ ピゲであり、1972年に産声を上げた「ロイヤル オーク」が、このカテゴリを代表する時計であることに異論はないだろう。

そんなロイヤル オークの生誕50周年を4月に控え、オーデマ ピゲは全48種にも及ぶ新作を発表した。

50周年モデルの入手は可能なのか?


本編に入る前に、伝えておきたいことがある。

ロイヤル オークの50周年モデルはすでに、極めて入手困難である。

近年、オーデマ ピゲは出来うる限りの増産体制をとり、この8年は年間約4万~4万5000本、2022年は約5万本まで生産数を増やす予定だ。

ところが、需要が遥かに上回るため、ロイヤル オークだけでなく、ほとんどのモデルが入手困難な状況となっている。

38mm径のクロノグラフを除き、ロイヤル オークの50周年を記念したアニバーサリーモデルに搭載されるムーブメントには、「50」を象った特別なローターが取り付けられる。

38mm径のクロノグラフなどいくつかのモデルを除き、50周年を記念したアニバーサリーモデルに搭載されるムーブメントには「50」を象った特別なローターが付く。


それならば、「すでに入手できないなんて!」とだけ言うのではなく、なぜそのような状況となったのか、その理由や歴史を理解しておくことも必要だ。来るべき日に備えて。

“ステンレス製”時計による伝説の幕開け


高級時計の世界で「ステンレス製=エントリーモデル」という解釈は正しくない。これを実践しているのが、パテック フィリップやオーデマ ピゲなどの超一流ブランドだ。

ロイヤル オークが登場した1970年代。当時の高級時計といえば、貴金属のドレスウォッチであることが常識だったが、オーデマ ピゲは前代未聞のステンレス製のラグジュアリースポーツウォッチを市場に投入した。

ドレスウォッチとスポーツウォッチの中間を行くデザインの模範となった初代ロイヤル オークRef.5402ST。

ドレスウォッチとスポーツウォッチの中間を行くデザインの模範となった初代ロイヤル オークRef.5402ST。


この「ステンレス製」というのが、ロイヤル オーク開発における大きなネックとなった。

ゴールドよりも加工が難しいステンレススチールで、特徴的なオクタゴンケースやブレスレットを形成することが困難であることは、50年近く経った今も変わらない。

つまり、手間を惜しまない非効率的な作業工程があってこそ、ロイヤル オークは製造できるのだ。
 
のちに「時計界のピカソ」と呼ばれる鬼才ジェラルド・ジェンタ考案によるアバンギャルドなデザインと、当時では法外だった価格設定に人々は度肝を抜いた。

その結果、ロイヤル オークの初年度のセールスは喜ばしい内容には程遠かった。おまけに、39mm径のケースサイズは流行の真逆を行くものであり、“ジャンボ”と揶揄さえされた。

ジェラルド・ジェンタが一晩で完成させたロイヤル オークのスケッチ画。

ジェラルド・ジェンタがひと晩で完成させたロイヤル オークのスケッチ画。


端的に言うと「奇抜な時計」という印象が、ロイヤル オークに対する大方の意見だったのだ。ただ、後世で名品として親しまれているプロダクトは紆余曲折を経て高い評価を得る場合が多く、ロイヤル オークも例外ではない。

そして、誕生時から飽くなき挑戦を続けたロイヤル オークは、時の経過とともにさらなる力を蓄えていく。

レディスから派生したゴールドウォッチ、重厚感のあるクロノグラフ、オーデマ ピゲのお家芸であるトゥールビヨンなど、多彩な展開もロイヤル オークの強みなのである。

それでは、“進化し続ける定番”の現在地はどこか。50周年のアニバーサリーモデルから以下の5本を例に、探ってみよう。

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